セガサミー会長「こんな最悪のケース見たくない」コロナ禍でゲーセン全閉鎖の試練…でも「任せた」 若手社長がピンチで構造改革を決断
◆コロナで最大400億円の赤字シミュレーション
互いを尊重し、良い関係を築いていたはずの2人。 しかし、2020年に初めてともいえる大きな対立を迎えることになる。 それは、新型コロナウイルス禍を巡る対応だった。 ゲームセンター運営やパチンコ・パチスロの製造販売を事業の柱としていたセガサミーにとって、創立以来の難局だった。 ----セガサミーは、コロナで一番ダメージを受けた業界だったのではないでしょうか。 コロナの流行初期は、これは大変なことが起きたなと。 運営していた約200店舗のゲームセンターを緊急事態宣言中は全部閉じ、遊技機を導入していただいているパチンコホールも閉鎖されました。 そして、最悪のシミュレーションを作って「400億の赤字が出ます」と父親のところに幾度か持って行ったら、「こんな最悪のケースばかり見たくない。 対応案を持ってこい」とめちゃくちゃ怒られました。 でも、最悪のケースを想定していかに回避するか、あるいは想定内にするのかが私の仕事だと考えています。 そして、構造改革をせざるを得ないと判断し、セガはゲームセンター運営から完全撤退しました。 ----セガにとって、ゲームセンター事業というのは柱なので、かなり厳しい決断だったのではないですか。 ゲームセンター事業はセガにとって祖業の一つだったこともあり、苦渋の決断でした。また、サミーは、当時業界的にも本当に厳しい環境になっており、3分の1の社員に希望退職を募りました。 私が育った家は、会社の隣にあったので、子供のときから知っているような社員の方にも希望退職を申し込んでもらいました。 この案を出したときに父親が「ここまでやるのか」と。 社内からも「会長ならこんなことしない。社長だからこんな厳しいんだ」という声も聞こえてきました。 でも、会社を潰さないことがファーストプライオリティです。 そして会社に体力がなくなったときに希望退職を募ったのでは十分なパッケージを提供することもできません。 体力があるうちに希望退職のパッケージを作ることが重要でした。 セガサミーは次の就職先が決まるまでずっと支援しました。でも、やはりつらい決断でした。