異色対談 菅孝行が前明石市長・泉房穂に問う「変革への道筋」…「成功事例がないと誰も信用しない」
時間的普遍性と空間的普遍性
菅最近の話をしたほうがいいかもしれないですね。あなたの政治家としての活躍を知らないわけじゃなかったけど、あらためてあなたの本を読んだりしてみると、運動をするとか社会を動かすときは「やってみせる」のが一番いいんだということと、まさに「それをやった人だな」ということを再認識しました。「こういうふうに明石市を変えるんですよ」と言って、あなたがやってみせたわけでしょう。そうすると三田市はどうするかとか、所沢市はどうなのか、とか、未来の指針が出る。そういう意味では「現実を変える力の源泉がどこにあるのか、よくわかって活動している人なんだな」と思います。そこが、一番感心したこと、感銘を受けたことです。 泉自分の中で大きいのは、学生運動の挫折体験があって、いろんなデモに行ったり集会に行きましたけど「こんなのでは勝たれへん」と思ったことですね。 菅異議申し立ては大切だけど、それを繰り返しているだけに終わると、主観はどうあれ、能書きを言って万年ケチつけ運動をやっているだけという状態が続くことになる。この徒労感は、疲れますよね。サヨクとかパヨクとかディスられることにばかり慣れて、騒いでるだけじゃダメなんだっていう諦めにつながっていく。悪循環を破る知恵が必要です。 泉学生運動的な運動の限界をどう超えるか。民主主義とつきあって、選挙制度なるものを使って変えるしかない、と思ったのが20代半ばぐらいです。それと、菅さんが言ってくださったように、小さくてもいいから、成功事例を作らないと、誰も信用もしないし広がらない。一点突破全面展開じゃないですけど、一つの場所でいいんです。 菅全面展開はなかなか難しい。 泉私が市長になる前から強く意識したのは、時間的普遍性と空間的普遍性ということです。要は条例や財源をつけて制度化しておいて、私が市長でなくなったあとも大丈夫な明石を残そうと思いました。ほかの自治体でも無理なく真似ができる程度の政策をやっていった感じです。おかげさまで、子ども予算を倍増し、結果的に地域経済活性化、人口増につなげる明石方式がだいぶ広まってます。 菅大学卒業後、衆院議員だった石井紘基さんのところで秘書をされましたよね。 泉大学には、いったん退学届を出しているから計5年通いました。卒業後、NHK記者、テレビ朝日の『朝まで生テレビ!』のスタッフの仕事をして、そのあと石井紘基さんの選挙を手伝いました。