異色対談 菅孝行が前明石市長・泉房穂に問う「変革への道筋」…「成功事例がないと誰も信用しない」
奨学金で年季奉公させられる若者たち
菅奨学金は取ったでしょう? 泉もちろん奨学金は取りました。大学にオカネは払ってません。入学金も授業料も免除です。奨学金も当時月15万円くらいもらってました。家が貧乏だったし、高校も進学校じゃなく、漁師町の普通の高校だったから、そのなかでの成績が群を抜いていてね。しかも面接のときに、子どもの頃の苦労話や、困っている人を助けるためにはどうしても大学に行く必要があることを切々と訴えたりもして。奨学金の担当者が結構泣いていたのを覚えてます。大学に行くために、こっちも必死だったんで。 菅自分がもらって本当に助かったことがあると、政治家になったときに、政策的な課題として奨学金とか学校の教育費無料化は絶対外せないテーマになりますよね。 泉 私が明石市長の時、コロナによる生活苦で中学3年生の高校進学が難しくなる家庭が出てくる、ということがあり、早速市が2億円の予算を組んで、給付型奨学金制度を作りました。受験半年前から無料学習支援もやりました。「高校に行く3年間は月1万円の小遣いを渡すから、辞めずにがんばれよ」という制度も作りました。学費を払えない大学生などにも「本人と親が払われへんかったら100万円上限で大学などの口座に明石市が払う」こともやりました。 私が東大に行けたのは、当時は給付型奨学金があり、学費を免除してもらったからで、今だったら行けないですよ。そういう思いがあるから、市長としてできる範囲の予算を組んだのであって、そこは体験と政治がつながってますよね。それがあるから強い。まわりの職員を説得できる。「こういうときこそ明石市が、貯金を崩してでも市民を救うんだ。それが行政というものだ」と言うと、職員も「わかりました」と言っていただいた感じです。議会も全会一致で通りました。 菅自分にも周りにも説得力がある。今は悲惨です。大学に入学すると、給付型でない、返す義務のある奨学金をもらわないといけない若者がいっぱいいるから、みんな卒業すると年季奉公に入ってしまうみたいになる。クビになって返済が滞るような冒険ができなくさせられる。 泉社会人になった瞬間に借金まみれですからね。珍しい国ですよ。そんなもんで結婚できないし、子どもも作れないですからね。なのに「株価が高い」なんて言っている。別世界ですよ。ますますひどくなっている。