黒川紀章・コシノジュンコ・横尾忠則が飛躍した大阪万博…55年後、若い才能が挑戦
日本国際博覧会協会は今回、「第2の黒川紀章」を発掘しようと、45歳以下の建築家を公募した。20組がトイレなどの設計を担う。
建築士の斎藤信吾さん(37)は、ジェンダーや障害に配慮したトイレを手がけた。「誰もが使うトイレは社会のあり方が凝縮される。多様性を認める社会を建築でどう表現するのか、ひとつの形を示したい」。車いす利用者や視覚障害者、介助者らの意見を聞き、個室の広さや手すりの位置を調整した。
ギャラリーを担当した建築士の金野千恵さん(43)は「廃棄物と見なしていたものが暮らしを形づくる資源になりうる」と、使用済みの茶葉やコーヒーかすを圧縮したパネルを建材に使う。
建築には未来への思いが込められ、その大きさ故に視覚に訴えてくる。
万博の建築物に詳しい国際日本文化研究センター所長の井上章一さん(69)は「デジタル社会の今、現場でしか体感できない価値を示せるかどうかが重要。建築がそういうものになれば面白みが増える」と期待する。(大阪文化部 中田敦之)