auトムス、爆速V 坪井翔「勝ちたいとは思ったが、本当に勝てるとは…」 山下健太「完璧な週末」スーパーGT王座連覇へ大前進
◇スーパーGT 第8戦 決勝 3日 モビリティリゾートもてぎ(栃木県) ペン=田村尚之 カメラ=多賀まりお GT500クラスは、ランキング首位に立つauトムスの坪井翔(29)/山下健太(29)組(トヨタGRスープラ)が圧勝で今季2勝目。これでランク2位との差を18ポイントに広げ、シリーズ連覇に大きく前進した。GT300クラスは、17番手スタートだったJLOC88号車の小暮卓史(44)/元嶋佑弥(33)組(ランボルギーニ・ウラカン)が大逆転で今季3勝目。ランク2位に浮上し、初タイトルをかけて最終大会(12月8日決勝、鈴鹿サーキット)に臨む。 (観衆=3万人) 憎たらしいほどの強さだ。燃料流量制限も加わる53キロ相当のサクセスウェイトを積んだauトムスが、ハンディを感じさせない横綱相撲。2位のARTA8号車(ホンダシビック・タイプR)を20秒以上も引き離し、余裕でトップチェッカーをくぐり抜けた。 スタート担当の坪井は「こんな上出来でいいのか-と思うほど。勝ちたいとは思ったが、本当に勝てるとは思っていなかった」と大喜び。後半担当の山下も「完璧な週末になった。燃料流量制限が残るもてぎはきついと思っていたので、まさか勝てるとは…」と声を弾ませた。 レースは非の打ちどころがなかった。坪井が先行する2台のシビックを交わしてトップに立ったのが11周目。そこから一気にペースを上げ、10秒以上の大差をつくって24周でバトンタッチ。後を受けた山下も「坪井君が大量リードをつくってくれ、楽に戦えました」と言いながら、タイヤとクルマをいたわりながらさらにリードを広げた。 開幕戦を制したauトムスは、ライバル勢に対して常にクルマが重い状態での戦いを強いられたが、ここまで全て入賞を続けるしぶとさ。重さが響く予選で沈んでも、レース中のペースで他を圧倒した。坪井は「決勝に強いクルマづくりを心がけている。それにトムスのピット作業はめちゃくちゃ速いし。そんなことが結果につながっていると思う」と強さの秘訣(ひけつ)を明かす。 山下は「チームのみんなが100%以上の仕事をしている。それが強み」とチーム力の高さを強調する。ドライバーとエンジニアがレースで強いクルマに仕上げ、メカニックが完璧な作業でコースに送り出す。そんなやるべき仕事を着実にこなしてきたことが、タイトル争いでの独走につながっているという。 最終戦では、予選を含め5ポイント以上獲得すれば無条件で頂点に立てる有利な状況だが、坪井は「油断すれば簡単にやられてしまう。僕たちらしいレースをしたい」と気を引き締めた。
中日スポーツ