【能登半島地震】被災地に届けた笑顔と活気 福知山発ボランティアが縁日開く
元日の能登半島地震で被災した石川県穴水町の高齢者福祉施設「朱鷺の苑」(大畑一也施設長)で16日、京都府福知山市民を中心にした有志でつくるボランティア団体が、利用者や地域の人たちに楽しんでもらう催し「朱鷺の縁日」を開いた。作りたての食事を無償で振る舞ったほか、射的や輪投げなどの楽しい模擬店も並び、地域の子どもからお年寄りまでが笑顔いっぱいの時間を過ごした。活動に同行し、現地の様子を取材した。 朱鷺の苑との縁の始まりは、福知山市社会福祉協議会職員の桐村風香さん(28)が、3月にボランティア活動で同施設を訪れたのがきっかけだった。 施設がある穴水町は、1月1日に最大震度6強を観測し、道路は割れ、全壊・半壊家屋が多く発生するなど大きな被害が出た。現在も仮設住宅での生活を余儀なくされている人がいるほか、町を離れて移住した人も多いという。 発災後、同町では全域で断水したが、施設は奇跡的に一週間足らずで生活用水の供給を復旧することができた。電気や入浴設備も利用可能になったため、地域住民たちの避難所としての機能を果たし、多い時には100人ほどが避難生活を送った。 そんな中、桐村さんは被災地の福祉救援を行うボランティア活動に介護職として参加し、同施設を訪れて6日間、現地職員に代わって業務を担った。 「何の縁も無かった施設でしたが、自分が大変な中でも笑顔で仕事に向き合う職員さんたちと関わるうちに、本当に大切にしたい場所になった」と桐村さん。福知山に帰ってからも施設のことが常に頭の片隅にあったと言い、「何かできることはないか」と職場の同僚にも相談し、「施設の人たちが今、求めている支援を」と、利用者らが楽しい時間を過ごせる縁日を企画した。 当初、市社協内の数人で動き出した計画だったが、徐々に支援の輪が広がり、福知山市職員たちでつくる「災害ボランティア部」や福知山公立大学生のほか、被災地での炊き出し経験が豊富な市外のボランティアら総勢30人以上が参加して、「朱鷺の苑応援プロジェクト実行委員会」を結成。約170食分のおでんや天ぷら、鍋料理に加え、フランクフルトやチョコバナナなどの祭りの雰囲気が増す軽食、子どもも大人も楽しめる模擬店が並ぶ、想定していたよりも大規模な縁日が実現した。