本場・中国でパンダ人気が再燃!彗星のごとく現れたトップアイドル「和花」がブームをけん引 競争社会の疲れを癒やし、愛国心も揺さぶる
実際に中国四川省はパンダの研究や飼育が盛んで、今年に入って地元の西華師範大学と共同で全国初となる「パンダ学院」が設立された。来年に開校する予定となっている。パンダの文化の伝承や国際交流を目指し、レベルの高い人材を養成していくことを目的としている。 四川省には「成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地」と呼ばれる施設もあり、シャンシャンと同じ時期に和歌山県白浜町のレジャー施設「アドベンチャーワールド」から返還された永明(えいめい)と双子の桃浜(とうひん)と桜浜(おうひん)も生活する。3頭の日本での人気ぶりは、シャンシャンと合わせて中国でも伝えられた。 シャンシャンに会った翌日にこの施設を訪れると、一般に公開されていた桃浜と桜浜を見ることができた。昼寝をしたり、竹を手に取ったり、終始リラックスした様子で、思わず「うらやましい生活だな」と嫉妬心に駆られた。 ▽落ち着いたトップアイドルの風格
「あっ、動いた!」。スマートフォンのレンズがパンダの一挙手一投足を捉える。今年5月、桃浜と桜浜、永明が生活する成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地は人でごった返していた。「立ち止まらないで」。警備員が「DJポリス」さながら手際よく観覧者を誘導していく。 この基地では多数のパンダを間近で観覧することができる。その中でも絶大な人気と知名度を誇るのが雌の3歳パンダの和花だ。 「争いを好まない穏やかな性格」(中国人記者)が魅力で、この日も長蛇の列ができていた。 中国では不況や就職難が続く中、若者の間では出世や消費に意欲を見せず、インターネット上で流行した「躺平(タンピン)」に表されるように頑張らない生き方に共感が広がる。成都の飲食店に勤める20代女性は和花のぬいぐるみを持ちながら「無理をしない、やる気もない後ろ姿が素敵」と魅力を語る。 トップアイドルの和花の「吸引力」は、地元経済にもプラスの影響を与えている。