本場・中国でパンダ人気が再燃!彗星のごとく現れたトップアイドル「和花」がブームをけん引 競争社会の疲れを癒やし、愛国心も揺さぶる
パンダの本場・中国でパンダブームが巻き起こっている。ごろんと寝そべり、竹をもぐもぐ食べ続ける姿が、競争社会に疲れた人々を癒やしている。今年2月に東京都の上野動物園から中国に返還された雌のジャイアントパンダ、シャンシャンの人気に代表されるように日本のパンダ熱が中国国内に伝わって、人気が再燃したのも一因とみられる。 パンダにタケノコ投げる 男性を終身出禁に 中国
さらにパンダ界に彗星のごとく現れた「和花(ホーファ)」が瞬く間にトップアイドルに駆け上り、今回のブームをけん引する。パンダがもたらす経済的恩恵も大きく、新たな雇用も生み出されている。 一方で、主な生息地の一つ中国四川省に和服姿のパンダ像が登場すると「親日だ」と炎上する騒ぎも発生した。「国宝」として大事に扱われるパンダは中国人の愛国心をも揺さぶるとともに、「大国」の外交カードとして利用されている。(共同通信中国総局 杉田正史) ▽日本のスター、本場でも健在 11月上旬、私は中国四川省にある中国ジャイアントパンダ保護研究センターの雅安碧峰峡基地を訪問した。 豊かな緑に囲まれた飼育施設から、丸みを帯びた体がゆっくりと現れた。食べ物が置かれた場所に到着すると、真っ先に大好物のリンゴをくわえ、器用に両手を使って口に運んでいった。 今年2月、日本から中国に返還されたシャンシャン。多くの日本のファンが別れを惜しみ、涙する姿も見られた。シャンシャンのスター性にあふれたキュートさはパンダの本拠地の中国でも健在だった。
シャンシャンの飼育を担当する趙蘭蘭さんによると、基地に到着した後、走り回ったり、食事を拒否したりと、非常に強いストレス反応が出た。趙さんは、シャンシャンの音に敏感で臆病な性格から、新しい環境に適応するまで時間を要すると判断した。焦らないで意思疎通を図っていき、信頼関係を築くことを大事にしたという。 8月以降、人目に触れないように現在の生活エリアで周囲の音に少しずつ慣れさせていった。国慶節(建国記念日)に伴う連休が終わり、来園者数が落ち着いた10月上旬、一般公開に踏み切った。趙さんは「中国でもシャンシャンが戻ってくることが話題になっていた。多くの人が観覧に来ています」と人気ぶりを語る。 ▽思わずパンダに嫉妬 シャンシャンの1日の主な食事は、竹16キロとタケノコ6キロ、リンゴ400グラムなど。にんじんは挑戦したが好みではなかった。発情期を迎えて適切な時期が来たら「恋人」探しをする予定で、好みのタイプはまだ分かっていない。趙さんは、シャンシャンが暮らす環境は動物園とは異なり「パンダの生活習慣に合わせ、できるだけ放し飼いで飼育している」と語り、中国国内で「最も権威がある専門的な飼育施設です」と誇る。