だが、伊東監督は、試合後、「力のあるボールもあった。また次、使ってみたいと思わせる投球だったね。（こちらの）期待のレベルが一つ上がったと思う」と、一次テストのクリアを断言、田中は、結果を残したことで次のテストへと進むことになった。 　プロの世界では、ブルペンエースが、実際のマウンドで結果が出させないことや、逆に「たいしたことがない」というピッチャーが、なぜか打たれないということも少なくない。そういう投手が実戦型と言われるのだが、田中も、「ボールの出所が見えにくい」という打者目線があって、ルーキーイヤーに結果を残すことは首脳陣に過小評価されるリスクはなく、次、また、その次という具合にチャンスがつながっていく可能性もある。 　“京大君”も、自らの置かれた立場はわかっている。 「今日は、自分のピッチングをするのがテーマでした。少しバタバタしましたが、やはり甘くいくと、プロでは通用しません。もっと、いいボールのいく確率を高めていきたいし、今後も、ゼロで抑えることを続けることが大事だと思います」 　田中が、この日、奪った3つの三振の相手は、プロでは、1軍半の相手。この先、一線級を相手にしていけば、さらなる試練が待ち受けているだろうが、ひょっとすれば、ひょっとするかも。