「医療従事者と内乱勢力を“同一視”」…韓国医療界を激怒させた尹大統領の「非常戒厳」布告
【12月07日 KOREA WAVE】韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領による「非常戒厳」宣言が医療界にも大きな波紋を広げている。布告令に「専攻医(研修医)未帰還時の処断」という表現が明記されていたためだ。 韓国政府は地方の医師不足解消を目的に、大学医学部の入学定員を2000人増やす計画を発表した。これに対し、医師らは「医療の質が下がる」などと強く反発し、専攻医らが職場を離脱する混乱が長期化していた。そんななか布告令は「専攻医」の処遇に触れていた。 韓国を代表する医学分野の学術団体「大韓医学会」は「専攻医を含む医療従事者を内乱勢力と同一視し、『48時間以内に本業に復帰して誠実に勤務し、これに違反時は戒厳法により処断する』と発表した。たとえ数時間後に戒厳令が解除されたとしても、これは単なる一夜の出来事として片付けられる問題ではない。政府が医療界をどのように見ているかを赤裸々に示した深刻な事案だ」と表明した。 さらに「今回の戒厳布告は、医療界への最低限の敬意すら欠いた措置だ。国家安全保障とは無関係な医療従事者に直接言及し『処断』の対象に明記したことは、医療界を体制転覆勢力と見なした明白な証拠だ。政府は、専攻医がすでに全員辞職しているという基本的事実すら把握できておらず、復帰を強制した。このような政府の無能さは、ストライキと辞職の違いすら理解していないことからも明らかだ」と批判した。 そのうえで、専攻医強制復帰条項が戒厳布告文に含まれた経緯を国民に明確に説明し、責任ある関係者の解明と謝罪を求めた。 また、大韓医師協会非常対策委員会は、今回の戒厳令宣言で研修医や医療従事者について自由民主主義体制を否定する体制転覆勢力と同等に扱ったことについて、これは大統領の「妄想」に基づいているとして強く批判した。 医師協会は「国民はユン大統領が『妄想』に基づいて何の対策もなく戒厳令を宣言したという事実をはっきりと知ることになった」とし「戒厳司令部布告令では、研修医をはじめストライキ中の医療人員や医療現場を離れたすべての医療従事者に対し、48時間以内に本業に復帰し忠実に勤務することを求め、違反時には戒厳法に基づいて『処断する』と宣言した。大統領は突如として研修医や医療人員について自由民主主義体制を否定する体制転覆勢力と同等に扱った。この点もまた『妄想』に基づいている」と主張した。 医師協会は▽「研修医や医療人員に対し『処断する』という抑圧的な文言を加えた関係者とその過程を明らかにし、責任を問うことを要求する▽ユン大統領に辞任を要求する▽政府が2025年度の医大募集を中止し、今後10年間続く医大教育の破綻を防ぐことを求める――を決議した。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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