17歳逸材は「選手権に出ない」 日本と欧州、育成制度の“決定的な差”「難しいハードルがある」【インタビュー】
欧州では「意識的に1つ上のカテゴリーでプレーさせるよう取り組んでいる」
欧州では日本よりもアンダー世代が細かくカテゴライズされていることは知られているが、「意識的に1つ上のカテゴリーでプレーさせるよう取り組んでいる」と、自分の実力以上のカテゴリーに放り込まれることで、早いタイミングで若手にチャンスが舞い込む文化は強く根付いている。 しかし、ポジティブなことばかりではない。「あまりに早すぎる段階で見切り、遅咲きの逸材を見落とす傾向はあると思う。若い頃から順調に伸びてプロになるのはほんの一握り。スポットライトが当たらないだけで、その何百倍もの人数の若手は成長し切れずに見限られる」と、欧州の育成制度における難点も挙げ、「なので、日本の育成制度が決して間違っているとも思わない」と、むやみな比較に釘を刺した。 日本には大学サッカーがあり、その4年間で花開き、プロで活躍する事例も増えている。世界的にも特殊な制度と言えるだろう。「日本は才能の取りこぼしが少ない土壌とも言えるかもしれない」と考察するなか、その大学サッカーにおける最大の功績と言えるのが、いまやプレミアリーグ屈指のウインガーにまで飛躍したブライトンMF三笘薫だろう。川崎フロンターレでプロデビューし、欧州へ渡ってすぐさま活躍。プレミアの舞台でも主力の座を勝ち取った。大学を卒業してから、たった3年間での出来事だ。 それでも、「もし三笘くんが高校生の頃からどこかの欧州クラブのアカデミーに入っていたら、今頃はレアルやバルセロナでプレーしていたかもしれない」と可能性にも触れつつ、「答えはない。個人の相性もあるし、どちらの育成制度にも良し悪しはある。欧州になくて日本にはある育成制度があって、その逆もまた然り」と、日本が無理に欧州化する必要性はなく、「日本は日本のやり方でレベルを高めていけるなら、それが一番いい」と、日本サッカーの未来を信じていた。
城福達也 / Tatsuya Jofuku