北陸3県の"リアル本屋さん"が統一キャンペーン ネット書店に対抗、北陸版の本屋大賞創設を目指す
ネット書店が台頭する中で“リアル書店”の存在感を高めようと、北陸3県の書店が統一キャンペーンを展開している。勝木書店(本部福井市)が主導して6社、44店舗で書店員がお薦めしたい一冊として早瀬耕さんの小説「未必のマクベス」の文庫本(早川書房)を半年間集中セールスする。参加書店は、北陸版の本屋大賞創設を目指しており、売り場からの発信がどこまで客に届くか注目される。 企画の中心となったのは、勝木書店の店舗統轄部長の海東正晴さん。同社では、書店員イチオシの文庫本を選ぶ「KaBoSコレクション」を2020年から実施し、福井発のベストセラーを生んできた。今回のお薦め本は、海東さんが温めてきた一冊。つながりのあった書店員に連携を呼びかけて、賛同を得た。 勝木書店(KaBoS)のほかAKUSHU(福井)、うつのみや(石川)、TSUTAYA BOOKSTORE イオンモール白山(同)、明文堂書店(富山)、文苑堂書店(同)が参加。老舗から新興店までがそろった。 「未必のマクベス」(2014年刊行、17年文庫化・1100円)は、IT系企業に勤める男性主人公が香港やマカオなどを舞台に犯罪に巻き込まれていく小説で、恋愛小説でもある。店頭の本には、書店員の推薦文が印刷されたオリジナル帯が巻かれている。 キャンペーンは7月1日にスタートし、12月末まで続ける。福井市のSuper KaBoSプラスゲオ二の宮本店では特設コーナーを設け、平積みにしている。担当の樋口麻衣さんは「600ページを超えるボリュームでも『推し本』とあって手に取ってもらえる」と話す。一方、AKUSHUの店長、石田美香さんは「6書店のロゴが印刷されたオリジナルのブックカバーに引かれるお客さんも多い」と説明。両店とも売れ行きは好調だという。 海東さんは「書店員の仲間で楽しみながら一冊を推す、そんな感覚で取り組んでいる。面白くない本はお薦めしないので書店員の目を信じてほしい」と話す。 「売り場では『この本がほしい』という客が減り、書店員は仕掛けの重要性を感じている」とも。売り場に来ると楽しいと感じてもらいたいと北陸版本屋大賞を来年初めにも創設する準備を進める。北陸の書店員の目利きの力を結集させて本の魅力を伝える。
福井新聞社