鮮烈の代打タイムリーデビューした阪神の新外国人ロドリゲスは矢野監督の「後半のラッキーボーイ」という期待に応えられるのか?
2年前にオリックスでプレーしたが、7月下旬に死球を受け戦線離脱したこともあり、59試合の出場で、打率.218、6本塁打、25打点の成績に終わり、1年で契約を解除された。その後、米国に帰り、メジャー昇格はできなかったが、2021年にはパドレス傘下の3Aチームで打率.290、29本塁打、94打点の成績を残し、マルテの故障もあり、阪神が、打線強化の助っ人として、シーズン途中に緊急補強した。 ロドリゲスは矢野監督の期待するラッキーボーイになれるのか。 一昨年まで阪神で7年間コーチを務めた高代延博氏は「意義のある逆方向へのタイムリー二塁打だったと思う」と評価した。 「ローボールヒッターなのか、低めの変化球への見極めや、対応は良かった。何より、ここは最低でも外野フライで1点が欲しい場面。ロドリゲスは、それを意識して結果につなげたことが大きい。前進守備を敷いていなくとも外野フライで1点にはなった。外国人選手の成否はいかにクレバーかどうかにかかっている。オリックスでプレーしたことで、日本人投手がストライクをそう投げてこないという傾向は頭に入っているようには見えた」 高代氏は、オリックス時代のロドリゲスのバッティングの記憶があり、克服すべき課題があったという。 「オリックス時代から見ているが、ホームラン打者ではない。放物線を描くのではなくライナー性のホームランが多かった。スイングも横ぶりなので、インサイドをストレートで攻められたときにどう対応するかが課題だった。この日は、1球もそういうボールがなかったので判断は難しいが、オリックス時代の経験とマイナーで29本も打ったことでどう成長しているかに注目したい」 高代氏は、この日の試合前に守備練習をチェックしたが、「スローイングは良かったし、動きに特に不安は感じられなかった」という。 ただ、もうひとつの疑問があるという。 「ロドリゲスを一塁で使うと大山はレフトに回ることになるだろう。三塁をずっと守っていないし、一塁から三塁に戻るよりも、一塁からレフトの方がまだ守備の不安はない。ただ、せっかくよくなっているバッティングに、こうも守備位置がコロコロと変わると影響を及ぼす懸念がある。大山がレフトに動くことで、相手の投手との兼ね合いで、佐藤が三塁を守るケースもあると思う。守備位置全体を動かさざるを得なくなることも出てくるだろう。フロントが緊急補強でペナントレースをあきらめない姿勢を示したことは評価すべきだが、本来獲得すべき選手は、右の外野手。なぜポジションが重なるロドリゲスを獲得したのかに疑問が残る。現場としては、そういう歪が出ても、取ってくれた以上、使いたくなる」 ロドリゲスが活躍すれば、それらはすべて杞憂に終わるが、逆襲への助っ人となるのか、それともチームをバラバラにする問題児となるのかは、今後のロドリゲスの結果次第だろう。 最大「16」を抱えていた阪神の借金はついに「2」まで減り、残り2試合を連勝すれば勝率5割に戻して前半戦を折り返すこととなる。 高代氏は、「勝率5割で後半戦をスタートするのとしないのではチームメンタルが大きく違ってくる」と指摘する。 「巨人はチームがガタガタ。どのチームもヤクルトに追いつくのは厳しいが、2位争いは、投手力で優る阪神が一歩抜けた存在だと思う。5点差があったといえ、最終回にアルカンタラでいけるのは、チームの余力を示している。横浜DeNA、広島との2位争いを抜け出すためにも、勝率5割で後半戦に入ることが重要。借金があるのとないのでは選手の気持ちが違ってくる。その意味でロドリゲスをスタメンで使う今日の試合が大切だ」 2位の広島まで1ゲーム、3位の横浜DeNAとは0.5ゲーム差。大激戦の2位争いを抜け出す“勢い“を横浜DeNAを倒すことでつかみたい。 (文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)