定年後に年収が下がったら「高年齢雇用継続給付」でいくら補填される?「年収500万円→300万円」に減少したケースで解説
定年後も仕事を続ける人は、今や「多数派」の時代です。とはいえ、再雇用時などに労働条件が変わり、60歳時に比べて賃金が大幅に低下する人が少なくありません。「高年齢雇用継続給付」は、そのような場合に受給できる給付金です。 本記事では、高年齢雇用継続給付のうち「高年齢雇用継続基本給付金」について、受給要件や受給額等を、計算例を交えて解説します。 ▼高齢者の「4人に1人」は働いている!? 平均年収はどのくらい?
高年齢雇用継続給付の概要
高年齢雇用継続給付とは、60歳時の賃金に比べ、それ以後の賃金が75%未満に低下した場合にハローワークへの支給申請により受給できる給付金です。 ■受給できる人は 高年齢雇用継続給付(基本給付金)を受給できるのは、次の全てに当てはまる人です。 ●雇用保険の被保険者期間が5年以上ある ●60歳以上65歳未満の雇用保険一般被保険者 ●60歳時の賃金に比べ、60歳以後の賃金が75%未満に低下している なお、高年齢雇用継続給付(基本給付金)が受給できるのは、60歳に到達した月から65歳に到達する月までです。 ■高年齢雇用継続給付の額は? 高年齢雇用継続給付の額は「60歳以後に支払われた1ヶ月の賃金×支給率」で算出します。支給率は、図表1のとおり60歳以後の賃金低下率に応じて決まり、上限は15%です。 図表1
厚生労働省 Q&A~高年齢雇用継続給付~ 60歳時の1ヶ月の賃金が35万円だった人が、60歳以後に20万円に下がった場合、低下率は約57%です。57%は上表の「61%以下」に該当するため、支給率は15%で、高年齢雇用継続給付の額は3万円となります。 ■欠勤等があったら? 60歳以後の月に病気など一定の理由により欠勤し、そのため賃金が下がった場合は「欠勤がなかったもの」として賃金を計算し、高年齢雇用継続給付の額を算出します。 また繁忙期など賃金が多かった月は、連動して高年齢雇用継続給付の額も増えます。そのため、高年齢雇用継続給付の額は、毎月一定ではありません。 なお、高年齢雇用継続給付には限度額があります。支払われた賃金と高年齢雇用継続給付の合計が限度額を超えたときは、超えた分の高年齢雇用継続給付が減額される仕組みです。つまり「月給+高年齢雇用継続基本給付金」のマックスは「限度額」となります。 なお、高年齢雇用継続給付の限度額は毎年8月に変更され、2024年2月時点では37万452円です。