定年後に年収が下がったら「高年齢雇用継続給付」でいくら補填される?「年収500万円→300万円」に減少したケースで解説
高年齢雇用継続給付はいくら?
では、年収が500万円から300万円に下がったケースについて、高年齢雇用継続給付の額を計算してみましょう。 ■500万円が300万円に低下したときの給付金額 便宜上、年収500万円と300万円を単純に12等分して計算します。その場合、1ヶ月あたりの賃金が41万6666円から25万円に下がったことになり、賃金低下率は60%です。低下率60%に対応する支給率は15%であるため、高年齢雇用継続給付は「3万7500円」となります。 賃金 25万円×支給率15%=高年齢雇用継続給付 3万7500円 「でも、月給が60%も下がるのだから、3万7500円もらっても足りない」と思う人もいるかもしれません。しかし図表2のように、賃金だけでなく社会保険料も所得税も下がります。しかも高年齢雇用継続給付は非課税です。 図表2
厚生労働省 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表および給与所得の源泉徴収税額表より筆者作成 ※通勤手当なし、扶養なし、東京都の会社に勤務、2024年2月現在の社会保険料率で計算しています。 図表2のように、賃金とともに社会保険料や所得税も下がり、高年齢雇用継続給付もプラスされるため、実際に60歳以後に手にする額は60%までは低下しないのです。
まとめ
高年齢雇用継続給付(基本給付金)は、60歳時に比べ75%以上賃金が低下した場合のための給付金で、60歳に到達した月から65歳に到達した月まで受給できます。受給額は60歳以後の賃金に支給率を乗じて計算され、支給率の上限は15%です。 なお、現在15%である支給率の上限は、2025年4月からは10%に減少することがすでに決定されています。それでも高年齢雇用継続給付は、働く高年齢者にとって心強い給付金に変わりないでしょう。 出典 ハローワークインターネットサービス 雇用継続給付 厚生労働省 Q&A~高年齢雇用継続給付~ 厚生労働省 令和5年8月1日から支給限度額が変更になります 執筆者:橋本典子 特定社会保険労務士・FP1級技能士
ファイナンシャルフィールド編集部