光を操るポイントは「照明器具の位置」

撮影／結城剛太

　光と影は空間をデザインする最大の魔法ですが、その力を活用することなく、単に部屋を明るく照らしているだけになっている空間が多く、もったいないと思うことが多々あります。「影をデザインする」という観点で考えると、光の位置、色温度、電球の選び方も重要です。 　ダウンライトやシーリングライトなど、照明器具がすでに設置されてしまっている場合も、電気工事の業者さんとの相談次第で照明器具の配置を再考することができます。位置、照らす範囲、光の強さ、影の形状を変化させることによって、ドラマティックな空間作りが可能となります。また、空間をより広く感じさせることもできます。 　読書や調理など明るさを必要とする場所では、直接的に光を当てることを意識します。一方、ダイニング、リビングのような心地よさを求める場所においては、照明が柔らかく広がる、落ち着いた雰囲気を作り出すことが大切です。食卓は明るければよいというわけではありません。どんなに美しい料理を作っても、陰影のない、明るいだけの光では、盛り付けられた料理も器も引き立たないからです。 　また、壁にかける絵画や花、家具の質感を照らすためにも「どの位置に光を照らし、どこを影にするか」、事前に照明器具の位置を慎重に見極める必要があります。照らしたい位置が決まったら、電気工事の業者さんに配線を施してもらい、目的に合った光を放つ照明器具をつけ、調光器で光量を調節できるようにします。 ---------- 絵画を掛ける場所には、スポットライトも併せて設置。 絵画とライティングは切っても切れない関係。あらかじめどこにかけるかを決めておいて、絵を効果的に、そして美しく照らし出す照明の設置場所を決められるのがベストです。 ---------- 　天井から吊るすペンダントライト、壁に配線するウォールランプ、絵画を照らしたり、廊下に雰囲気を作ったりするダウンライトの位置も、すべて空間の雰囲気に関わります。まずは自分にとって「理想の照明」をデザインしているレストランやホテルなどの商業施設を見つけて、どのような器具を、どの位置に配置しているか、足を運んで観察してみましょう。