五月天、蔡依林…台湾の人気芸能人が続々と「統一支持」を表明!そのウラにある中国共産党「台湾社会分断工作」
---------- 「台湾を包囲し『軍事演習』で威嚇…! 中国を激怒させた、台湾新総統の『許しがたい演説』と台湾人の『脅迫慣れ』」で解説したように、もはや中国の脅しに慣れっこになってしまった台湾社会。文化面では更に深刻な分断工作が効果を示していた。 ---------- 【写真】中国を激怒させた台湾新総統の「許しがたい演説」と台湾人の「脅迫慣れ」
台湾芸能人はどちらを向いている
今回頼総統就任の前後で目立った事象の1つに、「台湾芸能人の“統一支持”表明」があった。 5月24日に北京で行われたコンサートで、台湾の人気バンド「五月天」(MayDay)のメンバー「阿信」が「われわれ中国人」と発言した。また人気女性歌手の蔡依林(Jolin Tsai)も24日に南昌で行われたコンサートで「われわれ中国南昌」と発言した。 香港の親中派ネットメディア「香港01」は、「これまでに台湾の芸能人49人が中国中央テレビのウェイボ上にある『中国は最終的には完全な統一を実現する』との文章をシェアした」と報じている(香港01 5月25日「蔡依林跟進『我們中國南昌最熱情』 49位台灣藝人完成政治表態」参照)。 こうした動きの背景として台湾の蔡明彦国家安全局長は5月29日の立法院外交国防委員会で、中国共産党が台湾の芸能人もしくは芸能事務所との間で「1つの中国」を認める書類にサインさせたり、中国での公演の際に中国国内の政治体制や何らかの事件に対する批判を禁止したり、芸能事務所に税務査察を行うと脅したり、安全を理由に公演の入場者数を制限したりするなどの方法で圧力をかけていることがあると説明した(自由時報 6月4日「揭中國逼台灣藝人政治表態手段 國安局:簽一中承諾書、查稅等」 参照)。 一方、頼総統はこうした芸能人の動きに対して、「台湾の文化人が中国で意思表示を迫られたときに大切なのは何を言ったかよりも内心どう思っているかだ。皆さんが大目に見てくれることを願う」と「大人の対応」をした(中央社 5月26日「賴清德盼體諒表態藝人 學者:溫暖回應具總統高度」参照)。 これについて先述の盧氏は、「頼総統の対応には台湾本土派の間で反発があり、政治評論家や基進党などが抗議を行った。その一方、台湾本土派の中にも『中国が芸能人に圧力をかけるのは、芸能人のファン、ひいては台湾社会全体を分裂させようとの狙いがある』との見方もある」と説明する。