天心、堀口不在のノーTVでもRIZIN白熱。KINGレイナは減量失敗で判定負け「最後は唾で……」
総合格闘技イベント「RIZIN.17」が28日、さいたまスーパーアリーナで行われ、2試合あった女子総合のスペシャルマッチでは減量して挑んだKINGレイナ(23、FIGHTCLUB428)がステファニー・エッガー(30、スイス)に判定で完敗。元UFC戦士のハム・ソヒ(32、韓国)は、前澤智(31、リバーサルジム立川ALPHA)にTKO勝利し、10月12日に大阪で行われる「RIZIN.19」での山本美憂(44、KRAZY BEE)との王座挑戦者決定戦が決まった。メインの矢地祐介(29、KRAZYBEE)と浅倉兄弟の兄・未来(27、トライフォース赤坂)の因縁試合は、朝倉が判定で完勝。“キックの神童”那須川天心、“総合の日米2冠王”堀口恭司の両エース抜きの大会は、地上波放送ナシだったが、コアファン好みの「試験的なマッチメイク」は大成功だった。
KINGレイナは減量ミスで惨敗
まるで別人だった。SNSでは「可愛い」「綺麗」と評判になるほど、頬がこけ、10キロ以上の減量で臨んだレイナだったが、その減量の影響がファイトでは逆の目に出た。武器であるはずのパンチにスピードも威力もない。 「体に力が入っていないと感じた。ここまできつい減量をしてなかったら。倒せる力のこもったパンチが打てなかった」 相手はスイスでは有名な元柔道家。軽々と“バックドロップ”で投げとばされバックを取られチョークスリーパーを狙われる。2ラウンドにも、投げからテイクダウンを奪われ、またバックから手足をからめられて危ないシーンが連続。脱出に時間を要して体力を奪われた。 「強いとは感じなかったけど、得意でない部分を研究されて狙われた。圧倒的に(バックを)とられた」 最後は、なんとか立ち技勝負に持ち込んで殴り合いを仕掛けたが、決定打を奪えないままゴング。疲れきったレイナは、その場にワナワナとへたりこんだ。5分×3ラウンドの試合で一度として見せ場のないまま無残な判定負け。強気のレイナがリング上で泣いた。 「これまでのどの負けよりも悔しい」 目元を腫らした顔で会見場にあらわれたレイナは、そこでもまた涙ぐんだ。 減量の失敗だった。 今回は約10キロを落とさねばならない63キロ契約。1週間前までは順調に落ちて追い込みもできた。 「体重を落とすのは楽だった。1週間前は動きはいいなあと思っていた。パンチも当たるし、ポジションの取り方もよくて、うまくいくかもしれないなと思っていた」 だが、残り2キロの“水抜き”と呼ばれる減量手法に失敗した。汗で一気に落とす手段だが、サウナに入っても残り300グラムが落ちない。汗も出なかった。最後はガムを噛んで唾を吐くことを繰り返すという、ひと昔前の漫画に登場するボクサーがやるような非常手段で、なんとかリミットに。計量後のリカバリーもうまくいった気でいたが、リングに上がると、自分の体ではなくなっていた。 「落としすぎてしまった……筋肉まで一緒に落ちてしまった。体力も落ちて、思うように動けなかった」 2017年にRIZINでデビュー。3連勝を飾ったが、年末、昨夏に2連敗を喫して“商品価値”が下がった。だが、昨年12月のDEEPJEWELSでジュディー・ルイスに判定勝利、今年3月に上田真央を秒殺KO、アメリカ修業まで行って、11か月ぶりに出場機会を得たが、そこで信頼を取り戻すことはできなかった。 対戦相手のエッガーは「減量の影響?初対戦だからわからないけど、それほど強いパンチには感じなかったわ。普段男子と練習しているからなおさらだわ」と言った。 それでもレイナの心は折れていない。 「気持ちの部分で負けたとは思っていないんで……自分の体がついていけなかっただけ」 そして「今回みたいなきつい減量はもうしない」と言ったが、階級を元に戻すつもりはない。今後は、さらに1.8キロ下の61.2キロを目標に再チャレンジしていくという。 なぜなら見据える先にUFCがあるからだ。 「最終的には目標はUFCのチャンピオンベルトのある階級なんで」