「少年たちの証言が嘘とは言いがたい」ジャニー喜多川氏が、性加害について20年前の法廷で語っていたこと ジャニーズ事務所の「知らなかった」は、もはや通じない
「2人がうそをついているのですか」 これに対し、喜多川氏は反論や非難を積極的にはせず、やがてこう吐露した。 「彼たちはうその証言をしたということを、僕は明確には言い難いです」 後に喜田村弁護士はこの場面を「これで勝ったと思った」と振り返った。 ▽逆転勝訴の鍵になったのは… それでも、2002年の一審東京地裁判決は「少年らの証言の信用性を認め難い」と判断し、文芸春秋側に賠償を命令。ジャニーズ事務所が勝った。この判決について喜田村弁護士は「木を見て森を見ずではなく、葉っぱを見て森を見ない判決だった」と語る。 ところが、2003年の二審東京高裁判決は判断を一転させた。鍵になったのはジャニー喜多川氏が吐露した言葉だ。高裁はその上で、「(少年が)虚構の事実を述べたものとすれば到底考えられない」と指摘。少年らの証言内容がおおむね一致しており、具体的で信用できると判断した。 2004年の最高裁決定も、この高裁の判断を是認。こうして、喜多川氏のセクハラを告発した記事の真実性が認定された判決が確定した。ただ、当時は世間の関心を呼ぶことなく、表面上は静かに時が過ぎていった。
▽「厳重注意」にとどめたジャニーズ事務所 確定判決によって、ジャニー喜多川氏による少年たちへの性加害は認定された。常識的に考えれば、企業である事務所側はこの段階で喜多川氏の辞任など、相応の処置を取るはずだ。しかし、その後も喜多川氏は2019年に死去するまで社長を務める。 ジャニーズ事務所はその理由について、判決確定後も喜多川氏がセクハラを否定したため「誤解されるようなことはしないように」と厳重注意をするにとどめたと説明している。 元ジャニーズJr.の自営業中村一也さん(36)は、この事務所の対応を疑問視する。「なぜ(喜多川氏が)完全に野放し状態だったのか」 中村さんも2002年10月のコンサート出演後、喜多川氏の自宅に宿泊し、被害を受けたと証言している。裁判の継続中に被害を受けたことになる。 今年、記者会見して被害を公表した歌手のカウアン・オカモトさん(27)は10~15回ほど被害を受けたと証言。時期は2012~16年だ。