「少年たちの証言が嘘とは言いがたい」ジャニー喜多川氏が、性加害について20年前の法廷で語っていたこと ジャニーズ事務所の「知らなかった」は、もはや通じない
最初は1965~67年、一部週刊誌が「初代ジャニーズ」メンバーも所属した芸能学校での、ジャニー喜多川氏から少年へのわいせつ行為を報道している。 1988年には、フォーリーブスのメンバーだった北公次さんが、著書で喜多川氏からの性行為強要に言及。1996年には、平本淳也さんが著書「ジャニーズのすべて」で喜多川氏による性加害を告発した。 平本さんは、ジャニーズ事務所が今も、性加害を「知らなかった」としていることに憤る。「知らないと言えばそれで済んできた。とがめることなく受け入れてきたのが日本社会だ」 ジャニーズJr.になったのは1980年代。タレントらが寝起きする「合宿所」に出入りした。著書には、喜多川氏に体をまさぐられ、それ以上の接触から逃げ回った自身の体験や、目の当たりにした仲間の被害も盛り込んでいる。 執筆したのはこんな思いからだ。「なりふり構わず書かないと、誰も興味を示してくれない。事務所が『知らない』と言えないものを書こう」
ただ、出版当時はおどろおどろしさの漂う「暴露本」と呼ばれることもあった。1999年になって週刊文春のキャンペーン報道が始まっても、国内の大手メディアは続かず、「黙殺」されたまま時だけが過ぎた。 ところが今年、英BBC放送が喜多川氏による性加害を告発する番組を放送したところ、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトさん(27)ら若い世代が相次いで告発した。 性被害を巡る日本社会の認識は一変し、男性の被害も深刻に受け止められるようになってきたと感じる。 「長い間、孤独に闘い続けてきた」という平本さんはしみじみと語った。「時間はかかったが、やっと世界が動いた。『暴露本』がいつの間にか『告発本』になった」 ▽2001年7月に行われた尋問でのジャニー喜多川氏の主な発言は、次の通り。 【わいせつ行為】 そういうのは一切ございません。(間違われる行為も)ないと自分では確信を持っています。年下の者に、嫌がるようなことは、一切やった覚えはありません。
【少年がセクハラを証言する理由】 (事務所所属当時の)自分の友達が世に出てきて、すごい寂しい思いをしている。自分に注目を浴びるための何かだった気がする。 【証言はうそか】 彼たちはうその証言をしたということを、僕は明確には言い難いです。彼たちは本当に誠心誠意、僕のことを考えていろいろ今まできている。僕も彼たちのことをずっと考えてきてます。 【少年との関係】 お父さん、お母さんが持っている愛情のつもりでいます。セックス的な愛情はあり得ない。ただ、悲しいことに血族関係はない。血のつながりのないというほどわびしいものはない。寂しかったのは僕自身だったかも分かりません。