「少年たちの証言が嘘とは言いがたい」ジャニー喜多川氏が、性加害について20年前の法廷で語っていたこと ジャニーズ事務所の「知らなかった」は、もはや通じない
▽「いくら何でも心を入れ替えたと思っていた」 訴訟で文芸春秋側の代理人を務めた喜田村弁護士は、確定判決後も被害が長期に及んでいたことを元少年からの相次ぐ告発で知った。今年6月、日本記者クラブで記者会見した際には、驚いた様子でこう語った。「(喜多川氏は)いくら何でも心を入れ替えたと思っていた。被害はその後も平然と続いていたわけです。2019年7月にジャニーさんは亡くなったが、実際に(加害行為が)いつまでだったかは分からない」 会見の中で喜田村弁護士が問題視したのは、ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長の対応だ。 これまで藤島社長は、おじである喜多川氏の性加害について「知りませんでした」と説明している。ただ、藤島社長は確定判決当時、既に取締役だった。喜田村弁護士は、取締役会を構成する者とし、代表取締役だった喜多川氏がしたことを認定し、繰り返さないようにしておくべきで、再発防止策を怠ったことが被害を拡大させたと考えている。
「あるべきことと、いかに外れたことが起こったか。被害者救済など、会社としてやるべきことがある」 私たちは、ジャニーズ事務所の顧問弁護士を務める矢田次男弁護士にも取材し、話を聞いた。 矢田氏は、確定判決を「不当」と考えてきた。ジャニー喜多川氏についてはこう評する「本当に優しく、子どもを『うそつき』として人格的に非難したくない人」。喜多川氏の法廷での発言(少年たちはうその証言をしたと言い難い)も、優しさから出たと捉えている。 それだけに、告発が相次ぐ現状について、矢田氏は「何でこうなったのか。なぜなのかと…」と戸惑いを隠さなかった。「一般論」と断った上でこうも語った。「(性加害の)事実があれば、傷ついた人をどう助けるか。考えないといけない」 ▽「長い間、孤独に闘い続け、やっと世界が動いた」と元ジャニーズJr. ジャニー喜多川氏による性加害は、実は1960年代から何度も指摘されてきた。