「少年たちの証言が嘘とは言いがたい」ジャニー喜多川氏が、性加害について20年前の法廷で語っていたこと ジャニーズ事務所の「知らなかった」は、もはや通じない
ジャニーズ事務所元所属タレントからの告発が相次いだ、ジャニー喜多川前社長による性加害。事務所の藤島ジュリー景子社長は謝罪しつつも、喜多川氏が既に死去していることから「当事者であるジャニー喜多川に確認できない」と事実認定を避けている。ただ、所属タレントたちへのセクハラは、約20年前の民事裁判ではっきり認定されている。その法廷にはジャニー喜多川氏も立っていた。スターの原石を発掘し、男性アイドルの歴史を築いた男は何を語っていたのか。約20年前の裁判を資料や証言で振り返る。(共同通信=加藤駿、前山千尋、森原龍介) 【※この問題は、記者が音声でも解説しています。共同通信Podcast「きくリポ」を各種ポッドキャストアプリで検索いただくか、以下のリンクからお聞きください。「ジャニーズ性加害問題、メディアはどう報じてきたか」】https://omny.fm/shows/news-2/33 ▽「これで勝ったと思った」
週刊文春は1999年10月から、「芸能界のモンスター」というセンセーショナルな見出しで、ジャニー喜多川氏による事務所所属の少年らへのセクハラを報じた。ジャニーズ事務所側は「記事は名誉毀損(きそん)に当たる」として、発行元の文芸春秋を提訴した。 訴訟では2001年7月、証人尋問が非公開で実施されている。 まず、被害を訴えた少年2人が弁護士の質問に答える形で証言した。 「初めてセクハラを受けたのは中学3年の冬ごろ」 「中学2年の秋ごろからレッスンを受け(喜多川氏の)自宅で何回かセクハラを受けた」 喜多川氏はこの証言を、法廷内に設置されたついたて越しに聞いた。 続いて尋問された喜多川氏は、ジャニーズJr.の少年を「合宿所」と呼ばれた自宅マンションに宿泊させたり、マッサージしたりすることはあったと話した。 一方で、わいせつ行為は「一切ございません」。 ここで、文芸春秋側代理人の喜田村洋一弁護士はこう言って何度もただした。