巳年は株高になりやすい? 市場の格言「辰巳天井」は本当なのか
東京株式市場は6日、今年最初の取引となる大発会を迎えた。えとにまつわる株式相場の格言では「辰巳(たつみ)天井」と呼ばれ、辰年と巳年は株価が高値をつけやすいと言われる年だ。最近の巳年は格言どおりの推移をしてきたのか。 【写真まとめ】2025年の大発会、東証の参加者らの様子 「辰巳天井」は竜が天に昇るように株価が上昇し、天井をつけるとの意味で縁起が良いとされる。 辰年だった2024年はその格言を地でいく格好になった。日経平均株価は、円安の進行や脱デフレに向けた動き、新NISA(少額投資非課税制度)のスタートなどを追い風に年始から好調に推移。2月22日にはバブル期の1989年末につけた当時の最高値(終値)を超え、約34年ぶりに史上最高値を更新した。7月11日には終値として最高値の4万2224円を記録した。 前回最高値をつけた89年も巳年だ。日経平均の1年間の上昇率は約29%だった。1月に昭和天皇が崩御して新元号「平成」が始まり、4月には税率3%の消費税が導入された。株価や不動産価格が急高騰するなどバブル景気に沸き、日経平均は年内最後の取引となる大納会で史上最高値を更新した。一方で、過熱した景気を抑えようとした日銀が急激に金融引き締めに走り、資産価格の暴落や株安などを招いてバブル経済は崩壊した。 一方、巳年効果が及ばなかったのが01年だ。国内では物価が下がり続けるデフレが進行し、政府は3月にデフレ状態にあることを初めて認めた。景気低迷で完全失業率は5%台に達した。4月に発足した小泉純一郎政権が構造改革をスタートさせたほか、日銀はデフレ対策として「量的金融緩和策」を初めて実施した。世界的にもITバブルの崩壊で景気が低迷し、米国で9月に起きた同時多発テロなどの影響で投資家心理は冷え込んだ。日経平均は一時1万円を割り込むなどし、年間の下落率は約23%だった。 直近の巳年は、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」が始動した13年だ。金融緩和、財政出動、成長戦略の「三本の矢」を市場は好感し、年初から円安、株高が進んだ。日銀総裁には黒田東彦氏が就任し、大規模な金融緩和政策によるデフレ脱却への期待が高まった。年初に1ドル=80円台だった外国為替市場の円相場は、1年間で約20円下がった。円安も追い風となり、株価は年間で約57%上昇し、年末には約1万6000円をつけた。【嶋田夕子】