Waymo、米LAでロボタクシーを一般提供 運行範囲は全市の2割以下
アルファベット傘下の自動運転テクノロジー企業Waymo(ウェイモ)は11月12日、米カリフォルニア州ロサンゼルスでセンサー搭載の電気自動車(EV)によるロボタクシーサービスの提供を一般に拡大した。同サービスを利用するにあたって必要なアプリのダウンロードの制限をなくした。同社は利用の急増につながると期待している。 この措置により、米国で2番目に人口の多いサンゼルス(LA)では誰でもWaymoのアプリをダウンロードして乗車を予約することができるようになった。ただし1つ注意点がある。運行エリアはLAのダウンタウンからサンタモニカまでの約207平方キロメートルに限定される。これは約1295平方キロメートルあるLAの面積の2割にも満たない。同社によると、約30万人がアプリのウェイティングリストに登録していた。この数は毎週の利用者数の2倍だという。 WaymoはLAで商業サービスの提供を開始した後、同市での走行に適応することを目的に利用者を当初約5万人に限定していた。同社のロボタクシーサービスは同州サンフランシスコとアリゾナ州フェニックスで広く提供されている。年内にテキサス州オースティンで、来年初めにはジョージア州アトランタでも提供が始まる予定だ。 Waymoは現在、米国で唯一となる商用ロボットタクシーサービスを提供しているが、GM(ゼネラル・モーターズ)のCruise(クルーズ)やアマゾンのZoox(ズークス)の参入が見込まれている。イーロン・マスクもテスラを自動運転分野における主要プレーヤーにする意向だが、実際にサービスをいつごろ提供できるかは不透明だ。 アルファベット最高経営責任者(CEO)のスンダー・ピチャイは2週間前、週15万人がWaymoのロボタクシーを利用していると明らかにした。ピチャイは、自動運転業界においてWaymoが技術面で明らかに先端を行っており、アルファベットに「増大する商機を生み出している」と述べた。カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置くアルファベットは、Waymoの第3四半期の売上高を明らかにしなかったが、ロボタクシーサービスを含むその他事業の売上高は31%増の3億8800万ドル(約600億円)だった。ピチャイの説明によると、この数字の「大きな割合」をWaymoが占めた。 Waymoは現在、コンピューターやレーザー光を用いたLiDAR、レーダー、カメラ、その他のセンサーを搭載した約100台の電動SUV「JAGUAR I‑PACE」をLAで運用している。来年は低価格のハードウェアにシフトし、I-PACEの約半額となるヒョンデ(現代自動車)のEV「IONIQ 5」を導入する予定だ。 LAでの一般提供開始の一環として、Waymoはシングルマザー支援団体「She is Hope(シーイズホープ)」や性的少数者を支援するLGBTセンターなど、女性やLGBTQ+コミュニティの安全を確保するための活動を行っている地元団体とも提携している。 She is Hope創設者のティシャ・ジャニガンは「自分1人で乗ったときも、シングルマザー家庭の人たちと乗ったときも、自動運転テクノロジーとその快適さに驚いた」と語った。続けて、「私たちが支援している女性たちにとって、安全最優先の偏見のない、信頼できる移動手段を提供する画期的なもの」になるかもしれないとの考えを示した。
Alan Ohnsman