自然や動物が愛おしくなる “せつない動物の事実”描いた本が世界中で大人気
「ヘラジカは弟か妹がうまれると親に『さよなら』を言われる」、「トラフザメはうんだ卵に興味がない」、「アブラムシは1週間に一度自分のコピーをうむ」……。せつなくて悲しい動物の事実を可愛いイラストで紹介する本『せつない動物図鑑』が世界中でベストセラーとなっている。とくに日本では大人気で、7月19日には第2弾となる『生まれたときからせつない動物図鑑』を本国に先駆けて発売した。現在、シリーズ累計で発行部数34万部となっている。猛暑の折、著者でイラストレーターのブルック・バーカーさんが来日した。日々、動物の“せつない”事実を探しているという彼女は、日本でも何か発見しようと目を輝かせていた。
世界中でベストセラー 動物はカッコいい、可愛いだけでなく“せつなさ”を抱えて生きている
ブルックさんは幼い頃から動物の生態に魅せられ、「動物たちは、ただカッコいい、可愛いだけではなく、人間のようにさまざまな“せつなさ”を抱えて生きている」ということに着目し、WEBサイトで「動物のせつない事実」を紹介してきた。これが話題となり、書籍化されると世界中でベストセラーとなる。現在、“SAD ANIMAL FACTS”は12カ国で発行されている。中でもブルックさんは子どもから大人まで楽しめるように編集された日本語版がとくに気に入っていると言う。 「英語やほかの外国語バージョンは、重さもしっかりあって、シンプルな作りになっています。まず大人が読んで、面白かったら、子どもに伝えるという感じでしょうか。日本語版だけは児童書として編集し直されていて、カラフルできれいですばらしい仕上がりになっていますね」 英語タイトルは“SAD ANIMAL FACTS”だが、日本版ではSadを“せつない”と翻訳している。同書に紹介されているのは本当にせつなく、悲しい動物たちの事実なのだが、ページをめくってみるとなぜかほっこりとした気分になれるのは、可愛いイラストとふきだしに書かれた動物たちの脱力感を誘うつぶやきがあるからだろう。 「動物は話すことができないので、もしこの動物のせつない部分、悲しい部分について、動物はこんなふうに話すんじゃないかな、と想像しながら書いています。このせつない事実を読んでいくときにどこかクスッと笑えるものにしていけば、きっと救いがあるんじゃないかと思いました」