130メートルの巨岩とたくさんの岩塊 はやぶさ2がリュウグウ観測
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は19日、先月末に小惑星「Ryugu」(リュウグ)へ到着した小惑星探査機「はやぶさ2」の現状について記者会見した。はやぶさ2は到着後も観測を続けており、リュウグウには直径130メートルほどの巨大な岩や、表面にたくさんの岩塊があることが分かってきた。
より大きな天体が破壊されてできた?
これまでのはやぶさ2の撮影などによって、「そろばんの玉」のような独楽型の形状をしていて、赤道付近には200メートル級のクレーターがあることが確認されていた。直径は900メートル程度と推定されている。 到着後の観測で、リュウグウの「南極」の位置付近に直径130メートル程度の巨大な岩が見つかった。さらに表面には、天体の大きさの割にたくさんの岩塊がある様子が明らかになった。
「はやぶさ2」プロジェクトチームのプロジェクトサイエンティスト、渡邊誠一郎氏(名古屋大学大学院教授)は「(たくさんの岩に)多少びっくりした。非常に特徴的で、おそらくこの天体が、より大きな天体が破壊されてその破片が集まってできた天体だということを示す有力な証拠の一つじゃないかと考えている」と述べた。 これらの岩塊は8メートルを超す大きさのものが少なくとも100以上あり、「比較的満遍なく分布している」(渡邊氏)。リュウグウに着陸してサンプルを採取する「タッチダウン」の際にはリスクになる可能性がある。 ミッションマネージャの吉川真(まこと)氏は「着陸にとっては岩塊がなるべくない、平らなところを選びたいので、今後、高度を下げた観測でより詳細に着陸候補地点を見つけていきたい」と述べ、9月以降に予定するタッチダウンに向けた準備を進めるとした。
高度を5~6キロまで下げて観測
到着後のはやぶさ2は、基本的にリュウグウの上空20キロを「ホームポジション」とし、ここから観測を行う。現在は、ONC(光学航法カメラ)、TIR(中間赤外カメラ)、LIDAR(レーザ高度計)、NIRS3(近赤外分光計)による観測を続けているが、16日からは高度を6キロまで降下して観測する「BOX-C運用」が始まっており、23日まで行う。 8月1日から2日にかけては、タッチダウンの“予行演習”の位置づけでもあり、5キロまで高度を下げる「中高度降下運用」も実施。地表に目標点を定めて降下するタッチダウンと同様の手法を用いる。