自宅の空にも不動産価値が!? これから訪れる空間を売買する時代を解説
スマホに代わる次世代デバイスとして注目されるApple Vision Pro(以下AVP)が2024年6月28日、遂に日本上陸を果たした。AVP初の解説書『スマホがなくなる日』を上梓した、ITベンチャーSTYLYの渡邊信彦COOは、「近い将来スマホを持つ人はいなくなり、人類はメガネ型デバイスをかけて生活も仕事もすようになる」と断言する。今回はそんな渡邊氏と、東急不動産CX・イノベーション推進部 グループリーダーの佐藤文昭氏との対談が実現! 空間が土地と同じように売買されるようになる!? 未来の不動産の可能性とは。※本記事は、『スマホがなくなる日』より、内容を一部抜粋、再構成したものです。 【動画】佐藤文昭×渡邊信彦、スマホがなくなる日 対談
勝ち筋は想像を超えたところにある
空間コンピューティングに注目するのは、アートやエンタメ業界だけじゃない! 今不動産業界からも熱い視線が注がれ始めている。これからは空間の不動産!? 土地の売買だけでなく、空間の売買までされるようになるというのだ。デベロッパーが見据える、空間コンピューティングの可能性とは? 渡邊 佐藤さんには、不動産業界ではおそらく初めて、空間コンピューティングの可能性を感じてもらった記憶があります。具体的に、空間コンピューティングは不動産業界にどんな影響を与えられそうですか? 佐藤 不動産業界は、いわゆる物件開発、つまりは「ハコを作る」というビジネスをずっと続けてきました。どんな業界でも共通することかもしれませんが、世の中が変化するタイミングで、新しいことを始める必要があると私は常に考えています。そう考えているタイミングで知ったのがXRや空間コンピューティングという言葉でした。この空間コンピューティングでは、気分や用途に合わせた自分好みの空間を作り出せる、まさに「空間を身にまとう」時代が来るという話を聞いた時に「あぁ、これって今までにない新しい価値を不動産につけられて、街の価値を高められる」と感じたのが最初の印象ですね。 渡邊 私たちもXR技術を拡大するために、色々な場所に話をしに行くのですが、佐藤さんはものすごく真剣に話を聞いてくれて、嬉しかったですよ。 佐藤 ありがとうございます(笑)。自分の脳で考える未来なんてたいしたことない、自分の想像を超えたところに、初めて勝ち筋があると常に思っています。自分が想像できちゃう未来ってことは、それは想像の範囲内ということ。自分の常識の範囲外にこそ道があると思っています。普通に考えたらApple Vision Proのような、こんなごついものを身につけて歩く人なんていませんよね(笑)。 でも携帯からスマホに変わったように、世の中の当たり前は、想像の範疇を超えて常に変化しています。その時代の流れがどんどん速くなっている。想像できないようなことが、すぐ近くの未来まで来ているんじゃないかと思ったら、すごくワクワクしてきたんですよ。たとえばVRゴーグルも、最終的にはコンタクトレンズ型になる、みたいな話が本当にすぐ来るんじゃないかなと。そして私はそのお手伝いができたら嬉しいなと思ったんです。 渡邊 なるほど。想像を超えた未来って、想像できないことなんですよね。だから今理解できることで「それは起こり得るよね」って言わせたら多分負けなんですよね。 佐藤 出会った時から、言い表せない可能性みたいなのは感じていたんですが、実際にApple Vision Proを体験して、よりワクワクしましたね。失礼なんですが、大したことなかったらどうしようと思ってたんですよ(笑)。実は今までも、いろんなVRゴーグルやHMDを体験してきたのですが、「迫力がないな、画像が鮮明じゃないな、ちょっと粗いな」と内心思っていたんですよ。でもApple Vision Proは解像度がとにかくすごく鮮明で。感覚としては、タブレットが目の前にある感じでした。空間がディスプレイになるということが理解できましたし、テレビみたいにみんなが使うものになるとも思いました。