精神疲労で固まりがちな身体をケアする方法 胸椎や胸骨を柔らかく保つと自律神経が整う
■自律神経の疲労で胸骨が固まる 胸椎と胸骨とお腹(へそ上)は自律神経と深い関係があります。胸椎は背骨の一部で、頸椎(けいつい)や腰椎、肋骨などと連結しています。胸椎が固まると、体幹を反らせたり捻ったりする動きが低下します。鎖骨や肩甲骨、腕の骨とも隣接しているため、上半身のさまざまな動きとの影響関係にある重要な部位です。 特に野球やテニスなど、腕を強烈に振る動きは体幹のしなやかさが非常に重要であるため、パフォーマンスに悪影響が出やすいと言えます。
胸骨は、胸の正面にあるネクタイのような形状の骨で、胸椎と肋骨の連結に含まれます。交感神経がはじまる部位にあたり、胸骨の奥には自律神経が集まっているため、自律神経が疲労すると胸骨もその影響を受けて固まります。 実際、日本代表の試合を終えた選手の身体をチェックすると、これらの部位は例外なく固まっています(胸周り全体の柔軟性や呼吸のしやすさを指標とすることで変化がわかります)。そのまま放置するとさまざまな問題に移行していきます。
へそ上の固さはお腹の固さが現れる場所としても重点ターゲットですが、自律神経の観点においてもとても重要です。へそ上には、自律神経節という神経細胞の集合体があるからです。 上から順に、腹腔神経節(肝臓、すい臓、胃、十二指腸などの交感神経)、上腸間膜(じょうちょうかんまく)神経節(=小腸、右の大腸、生殖器系などの交感神経)、下腸間膜(かちょうかんまく)神経節(左の大腸から泌尿器系の交感神経)と呼ばれています。どれも「興奮モード」である交感神経に関連しています。
交感神経が過剰に働き続けて自律神経の疲労が蓄積すると、神経節への血流が低下して固まります。 ■固まりやすい胸椎の状態を整える この固まりやすい胸椎を整えるリカバリートレーニング「ネコモド」を紹介しましょう。 自律神経の影響で固まっていることが多い胸椎の状態を整えます。胸椎は背中の上半分を占める位置にあるので、捻った状態で内側から広げる(背中・胸を膨らませる)ことでより効率的にストレッチがかかるほか、肋間筋を内側から広げる作用も得られます。