“エコ”か“エゴ”か 新型デミオ1.5ディーゼルが実現した「ドライバーが主役」
スポーツドライブの期待に応える走り
低速での乗り心地はあまり良くない。目地の段差なども突き上げがはっきりと解る。場合によっては購入を踏みとどまる原因になりかねない乗り心地だった。ただし、と付け加えなくてはならないのはこれはあくまでもプロトタイプ。生産型がこれと全く同じセッティングであるかは解らない。というより個人的には市販版とは違うセッティングではないかと想像している。いずれにしても、低速の乗り心地については購入時には要確認である。 直線路を加速して時速80キロ程度からのブレーキは極めて自然。驚きも失望もない。念のために言い添えておくと、スポーツカーはともかく、それこそが市販乗用車のブレーキの最良の評価でもある。ブレーキを踏む度にエモーションを掻き立てられるようでは困る。自然に止まることがベストだ。 続くコーナーではブレーキを掛けたままコーナーに入る。いわゆる旋回ブレーキだが、このコントロールもやり易い。ブレーキを踏み足した時だけでなく、抜いた時にもリニアだ。後に主査に聞いたところでは、ブレーキについてはかなり意識してレベルアップを図っているとのことで、それが納得できるものになっていた。 ブレーキを踏みながら旋回に入ると、リアが必要以上に踏ん張らず、じわじわと滑り始める。車両の向きの変わり方は癖がなく素直だ。そこからアクセルを踏んで行っても、フロントタイヤにちゃんとトラクションがかかる。タイヤのキャパを越えてだらしなくアンダーステアに移行したりしない。旋回中に段差を越えた時も挙動変化は穏やかだ。 旋回中のアクセル操作はとてもよく効く。トラクションの限界を探りながらアクセルを操作している時、緩めれば鼻先が巻き込むし、踏み足せばじわっと外に出る。思惑通りの軌跡に持ち込むことができる。エンジンブレーキが効き、トルクのあるディーゼルエンジンは、姿勢をコントロールする上でとてもスポーティなものになっている。またそこまでの負荷の高い領域を使っても、電制システムによるアクセルやブレーキへの介入は起こらない。