歯科インプラントやっていい人ダメな人(4)「転ばぬ先の杖」で介護対策
前回、「インプラントオーバーデンチャー」と「インプラントテレスコープ義歯」を紹介した。インプラントオーバーデンチャーは、インプラントに入れ歯を取り付けるもの。最近は、従来よりも細いインプラントを使用し、それによって歯肉を切らない方法も登場している。 自由診療歯科医が教える歯のケア(5)インプラントをどう考えるべきか? 一方、インプラントテレスコープ義歯は、茶筒のフタと筒をイメージするとわかりやすい。茶筒のフタを筒に装着すると摩擦力で強く振ってもフタは外れず、しかし徐々に力を入れて引き上げればフタが外れる。茶筒のフタ(外冠)のようなものを義歯に埋め込み、茶筒の筒のような土台(内冠)をインプラントに取り付け、義歯の外冠を内冠に装着することで、義歯は維持安定し、かつ取り外しも可能になるのだ。 「インプラント部のみならず口腔全体の治療計画を考えてくれ、選択肢を複数説明してくれる歯科医をぜひ選んでください。場合によっては、日本口腔インプラント学会で認定しているインプラント専門医にセカンドオピニオンを求めるべき。学会のホームページで専門医の検索をできます」(日本口腔インプラント学会専門医・指導医で、神奈川歯科大学短期大学部の林昌二特任教授) インプラントは、本連載で繰り返し述べてきた通り、入れればおしまいではなく、メンテナンスが非常に重要だ。また、インプラントを入れる前には、虫歯、歯周病の治療と噛み合わせの治療は必須であり、インプラント後も同様。歯ぎしりなどでマウスピースをつけていた人は、インプラントの後もマウスピースが必要だ。 「健康寿命を延ばすには口の健康を保つことが不可欠で、インプラントは、口の中の健康を保つ上での手段のひとつです。失った歯を代用することで、サルコペニア(高齢期の筋力・身体機能低下)、転倒、認知症、記憶力低下などの予防にもなると言われています」 近年は、オーラルフレイルにも着目されている。フレイルは「虚弱」を意味し、健康な状態と要介護状態の中間の段階を指す。林特任教授が、常々口にしている造語がある。 「転ばぬ先の杖、ならぬ、転ばぬ先の義歯&インプラント。噛む力が大切。特にインプラントは、しっかり噛む力を取り戻せる。結果、フレイル、要介護を予防し健康寿命が延びる可能性が大きいのです」 =おわり