パリ五輪で聖火ランナー選出の垂見麻衣さん 東京大会はボランティア経験「懸け橋役に」
パリ五輪の聖火ランナーとして、茨城県神栖市の会社員、垂見麻衣さん(36)がフランスで走る。ボランティアとして関わった3年前の東京五輪での経験を自己PRとして応募し、パリ大会組織委員会から先日、〝合格〟メールが届いたという。日本人ランナーは全体で10人程度とみられ、「びっくりしたけれど、またとない機会。東京大会からの懸け橋役として、感謝の思いを表現したい」。出発を間近に控え、気持ちも高ぶってきた。 【写真】パリ五輪の組織委員会から垂見さんに届いた、聖火ランナー選出を知らせるメール ■14年前に見た「笑顔」 垂見さんのもとに吉報が届いたのは1月15日だった。フランス語はあまり得意ではないが、赤字で記された「Félicitations(フェリシタシオン)!」の文言で、悟った。日本語で「おめでとう」の意味だ。 五輪との接点は14年前だった。高校時代をカナダで過ごしていたこともあり、同国のバンクーバーで2010年に開かれた冬季五輪のタイミングに合わせ、当時住んでいた東京から再び訪れた。 アリーナでの観戦チケットは持っていなかったので、パブリックビューイング(PV)の会場に向かうと、ボランティアが「こちらへどうぞ」と笑顔で案内してくれた。道行く人たちにも「すごく楽しいからおいでよ」と声をかけていた。 「ボランティアというと災害時の活動など、なんとなく大変そうなイメージを抱いていた。けれど、こんなに楽しそうな役割もあるんだなと」。 13年、東京での五輪開催が決まると、すぐに気持ちは固まった。「ボランティアとして絶対に関わりたい。日本を知らない人に、こんなに素敵な国があると知ってもらいたい」。 応募を経て、無事に採用が決まった18年には、東京大会に参加するボランティア同士の情報交換の場を設けようと、SNS上でのコミュニティーグループの立ち上げに尽力。周囲に楽しんでもらうことはもちろん、自分自身が楽しむことの重要性を共有した。 ■無観客の東京で講じた〝工夫〟 新型コロナウイルス禍で開催が1年延期されたうえ、一部を除き無観客での実施という対応が取られた同大会。レスリング会場などで電光掲示板の表示切り替えやビデオ判定用の動画撮影などを担い、「選手がぶつかりあう音、飛び散る汗、勝利や敗戦での表情を間近で見られた。貴重な体験になった」。