歯のインプラント治療の年齢・性別による違いは? 特別な考慮事項ってあるの?
性別でみるインプラント治療を受ける際のポイントと注意点
編集部: 男性の方がインプラント治療を受ける際に、注意すべき点、気をつけたい点はありますか? 小松先生: 男性の場合は、生活習慣やライフスタイルに関連するリスクに注意が必要です。例えば、男性の場合は仕事の忙しさを理由に、メンテナンスに来なくなる方が一定数いらっしゃいます。 しかし、インプラントは「治療をしたら終わり」でなく、以後の継続的なメンテナンスが予後を大きく左右します。このあたりは若年者のインプラント治療と同様に、長期的視点に立ったメンテナンスの重要性をあらかじめよく理解しておくことが重要です。 編集部: では、女性の場合はいかがでしょうか? インプラント治療に際して考慮しておきたい点はありますか? 小松先生: 女性の場合は、ホルモンバランスの変動による骨粗しょう症のリスクを考慮しておく必要があります。これは骨の状態だけでなく、服薬する薬剤にも注意が必要です。骨粗しょう症の治療薬のなかには、インプラント治療のリスクを高めるものがあります。 場合によっては、インプラントが適さないケースや追加の対策が必要になるケースもあるため、歯科医とよく相談のうえ治療を進めていただきたいと思います。 編集部: 女性の場合、妊娠中や授乳中でもインプラント治療を受けることは可能なのでしょうか? 小松先生: 絶対にダメというわけではありませんが、いくつかの懸念事項があります。具体例を挙げると、レントゲンやCT検査による放射線の被爆や、外科処置にともなう薬の服用などです。 これらは安全性の高い方法を選択しても、リスクが完全にゼロになるとは言いきれません。学術的な安全性とは別に、患者さんの心理面を考慮すると、やはり妊娠中や授乳中のインプラント治療は極力控えたほうがいいでしょう。 編集部: 最後に、読者へメッセージをお願いします。 小松先生: インプラント治療では、その適否を年齢や性別だけで判断することはありません。ただ、ライフステージや個々の状況に応じて、考慮すべき点が異なることは確かです。 インプラント専門的に診ている歯科医は、こうした個々の事情をしっかり把握したうえで、最適な治療計画を立案しています。 インプラント治療は長期にわたるものですので、ご自身の状況をよく理解し、適切な治療計画を提案できる歯科医をぜひ見つけていただきたいと思います。