2025年から可能に! NISA口座を「複数」保有する方法。そのメリット・デメリットは?
特定の1年において、取引できるNISA口座はひとつだけ。だが、運用だけを行うNISA口座は理論上、金融機関の数だけ作ることができる。 2024年内は最初の年だったため、2つ目のNISA口座を作ることは不可能だった。だが、2025年からはそれが実質可能になる。 この意外と認知されていない事実は、NISAとの付き合い方をもっと柔軟にしてくれる可能性がありそうだ。 「NISA口座は、1人1口座」と、理解している人は多い。 かくいう、筆者もその1人だった。実際、各証券会社のサイトにも、そのような記載がされている。もちろん、これに間違いはない。 だが、やや言葉が足りないのだ。当然、欄外の補足で細々説明されているとは思うが、そこまで気が回る人も少ないだろう。 あえて、そこを掘り起こすなら、 特定の年に、NISAで「取引」できるのは原則1人1口座 だが、1年ごとにNISAで取引できる金融機関は変更できる その際、以前の金融機関に「非課税枠」の資産は残しておける もし資産ごと移動したい場合は、一旦売却しなくてはいけない 2024年は最初の1年だから2つ目は作れなかった。だが、2025年から可能に ということになる。 つまり、毎年取引できるNISA口座はひとつだけ。だが、運用だけを行うNISA口座は理論上、金融機関の数だけ作ることができるのだ。 また、2024年は新しいNISAにとって最初の1年だったため、複数のNISA口座を作ることはできなかった。しかし、2年目となる2025年は、実質的に2つ目のNISA口座を作れる最初の年となる。以降、やろうと思えば、毎年1つずつ、運用だけを行うNISA口座は増やしていけるのだ。 なぜ、NISAはこのような仕様になっているのか? また、NISA口座を複数作ることのメリット・デメリットはなにか? 本記事でまとめていく。
金融庁が狙っていること
改めて言及するが、NISA口座は理論上、金融機関の数だけ作ることができる。その理由について、ブルーモ証券社長の中村仁氏は次のように推測する。 「(NISAを管轄する)金融庁は適正な業者間で競争が行われて、消費者に対して質の高いサービスが提供されることを狙っている」 中村氏は、財務省にて総合調整・税務調査・国際金融業務に従事したのち、投資アプリ「ブルーモ(Bloomo)」を開発。著名投資家や他のユーザーのポートフォリオを簡単にコピーできるこのサービスでも、10月よりNISA対応を開始した。 「もし自分には合わないと感じるサービスがあっても、消費者がロックアップされないようにしておくというのは、規制省庁としては考えるべきことだと思う」 だから、NISA口座は複数作ることができるようになっているという。しかし、「年間投資枠(つみたて投資枠:120万円、成長投資枠:240万円)」「生涯投資枠(合計1800万円)」という2つの縛りによって、いくつかの制限が発生しているのだ。