サメの街、気仙沼で専門博物館リニューアル 沖縄・美ら海水族館が協力
サメの水揚げ日本一を誇る宮城県気仙沼市に、国内唯一と言われるサメ専門博物館「シャークミュージアム」がある。2011年の東日本大震災で被災し、2014年に復活。サメ研究で知られる沖縄美ら海水族館(沖縄県本部町)の協力を得て今春、リニューアルを果たした。(共同通信=松本拓) 目玉は全長約8メートルのウバザメのオブジェだ。展示を監修した仲谷一宏北海道大名誉教授(78)は「まるで生きているかのようだ。ざらざらしたサメ肌の質感も感じられる」と話す。 気仙沼では江戸時代末期にフカヒレの製造が始まり、明治時代にかけて中国への輸出が進んだ。サメ肉を使った「ちくわ」など、水産加工業も発展。博物館は1997年に開館した。 2011年、博物館は津波により浸水。長年、研究者として気仙沼に通う仲谷さんらが尽力し2014年に再開した。街の被災状況が分かるパネル展示や、地元漁師らへのインタビューで、震災についても伝えてきた。
復活から10年。リニューアルでは復興が進んだとして、再びサメ展示に絞った。オブジェは、2014年から名誉館長を務める仲谷さんの仲介で昨年協定を結んだ美ら海水族館の運営財団から借り受けた。山口県で水揚げされた個体から型を取って作ったもので、三陸沖にも生息していることから選んだ。 サメの名前の由来を問うクイズ形式のコーナーや、世界最先端の研究を学べる「サメ博士」コーナーを新設し、子どもたちに関心を持ってもらえるよう工夫した。 仲谷さんは「サメを怖いと思うだけではなく、多種多様な生態があることを知ってほしい。海や生き物に興味を持つための入り口になれたらうれしい」と語る。