吉田麻也、堂安律、板倉滉の移籍でブンデスに日本人10人…W杯ドイツ戦にどんな影響を与えるのか?
ビーレフェルトは完全移籍での堂安獲得を目指したが、コロナ禍に伴う財政難で断念。PSVへ復帰して結果を残した堂安に、昨シーズンに6位へ躍進し、今シーズンはUEFAヨーロッパリーグにも出場するフライブルクが白羽の矢を立てた。 三者三様の経緯でブンデスリーガ1部に挑むなかで、シュツットガルトのキャプテンとして1部で3年目へ臨むMF遠藤航(29)や、ウニオン・ベルリンで2年目を迎えるMF原口元気(31)らを加えた代表の常連組が、ドイツでプレーする状況が生まれた。 特に吉田と遠藤は森保監督が厚い信頼を寄せ、6月シリーズでも4試合すべてで先発させた。センターバックとその前方に位置するアンカーが、カタールワールドカップのグループリーグ初戦で対戦するドイツでプレーする意義を指揮官はこう説明する。 「現在のドイツ代表に選ばれている選手の多くは、ブンデスリーガでプレーしている。ドイツ人のメンタリティーや志向するサッカーがわかり、その上でワールドカップ本大会を迎えられるのは、われわれにとっては非常にポジティブな要素だと思っている。選手がより自信を持って、ドイツ戦に臨めると受け取っている」 ドイツ代表の直近の試合となる、6月14日のイタリア代表とのUEFAネーションズリーグの先発メンバーは、実に8人をドイツにおける“国内組”が占めた。招集メンバー全体では26人のうち20人がブンデスリーガ勢だった。 特にキャプテンのGKマヌエル・ノイアーをはじめ、ボランチのヨシュア・キミッヒ、トップ下のトーマス・ミュラー、左サイドアタッカーのレロイ・サネが、ブンデスリーガ1部で歴代最長の10連覇を継続中のバイエルン・ミュンヘンでプレーしている。今シーズンからボルシア・ドルトムントに所属するセンターバック、ニクラス・ジューレも6月シリーズを戦った時点ではバイエルンの所属だった。 昨夏のヨーロッパ選手権後からドイツを率いるハンジ・フリック監督も、バイエルンの前指揮官として2019-20、2020-21シーズンのリーグ優勝に導いた。基本にすえるハイプレスからの縦への速攻に、状況に応じてピッチの幅を広く使ったボールポゼッションを織り交ぜる戦い方は、バイエルンからほぼそのままドイツ代表へ継承されている。 つまり絶対王者バイエルンとの対戦は、森保監督が言及した「ドイツ人のメンタリティーや志向するサッカー」をとりわけ肌感覚で味わえる機会となる。ドイツの1トップ、ティモ・ヴェルナーこそプレミアリーグのチェルシーでプレーしているが、対ドイツへの経験値で森保ジャパンを大きく底上げする状況が生まれようとしている。