クロちゃん×小田原ドラゴン初対談「友達を亡くすということ」【1】共通の友人への鎮魂歌
他人には厳しく、自分には大甘
小田原 「池袋に絶対ヤレるキャバクラがあるから行きましょう!」って誘われたことがあるんです。話を聞いてみると、どうやら前にキンテツと一緒にお店に行った人が初日で良いことがあったらしくて。でも、それって単純にその人がモテるだけという可能性が高いじゃないですか。「俺らが行ったところで何も起こらんよ」って伝えたんですけどね。コーフン状態にあったキンテツは「いや、でも僕は目撃したんです!」って一切聞く耳を持たなくて……。 クロちゃん 目撃って……。ツチノコじゃないんだから(笑)。 小田原 案の定、お店は普通のキャバクラで、いつものように2人でトボトボ帰りました。 クロちゃん 何でも自分に都合よく解釈する才能がありましたね。 小田原 他人には厳しく、自分には大甘という。 クロちゃん 俺がア然としたのは、夜のセクシーなお店での立ち振る舞い。キンテツ、女の子には触れないんです。「これがモテる秘訣なんです」とか言って。 ──それは一種の騎士道精神なんですかね? クロちゃん おそらくそうだと思います。キンテツなりにダンディズムを演出していたんじゃないですか。もちろんそれで女の子とデートできたりするわけではないんですけど。 小田原 でも話を伺っていると、キンテツと一緒にキャバクラに行った回数は僕よりもクロちゃんのほうが圧倒的に多そうですね。 クロちゃん たしかに一時はすごい勢いで行ってました。無料案内所を活用しながら、1日で3軒とかハシゴしていましたし。キンテツは独自のキャバクラ理論を持っていて、少し郊外のほうが素敵な嬢に会えると。新宿や六本木といった激戦区で夢破れた女の子たちが、地元に帰ってきているという持論なんですけど。だからキンテツと2人、自転車で1時間半かけて吉祥寺のお店に行ったりもしましたね。 小田原 めちゃくちゃ仲良しじゃないですか(笑)。 クロちゃん 真夏だったので、店に着いた瞬間におしぼり3枚くらいもらって全身の汗を拭きました。うちらとしては『走れメロス』気分で「この情熱を見てくれ!」ってアピールしていたんですけど、今思えば汗臭くて気持ち悪い印象を与えたと思う(笑)。 ▽くろちゃん 1976年、広島県生まれ。01年、団長安田、HIROとともにお笑いトリオ・安田大サーカスを結成。強面のルックスに女性のような甲高い声が特徴で、バラエティ番組『水曜日のダウンタウン』(TBS系)などで炎上騒動を起こすこともしばしば。アイドルやキャバクラにも造詣が深い。近著に『日本中から嫌われている僕が、絶対に病まない理由 今すぐ真似できる! クロちゃん流モンスターメンタル術30』(徳間書店)。 ▽おだわら・どらごん 1970年、兵庫県生まれ。98年、『週刊ヤングマガジン』(講談社)の『おやすみなさい。』で初連載を果たすと、モテない男のペーソスを描いた作風で多くの支持を獲得。代表作『チェリーナイツ』(講談社)はドラマ化もされている。また『小田原ドラゴンくえすと!』(小学館)では、石川キンテツさんとタッグを組んで様々なスポットをレポート。近年は車内泊や愛犬をテーマにした作品をするなど、マルチに活躍している。 【2】クロちゃん・小田原ドラゴン「友達を亡くすということ」愛すべきクズと過ごした青春時代と絶縁は下の関連記事からご覧ください。
小野田 衛