クロちゃん×小田原ドラゴン初対談「友達を亡くすということ」【1】共通の友人への鎮魂歌
身の丈にあっていない発言が目立つ…
クロちゃん 俺が聞いた絶縁の理由は、キンテツがよく指名していたキャバ嬢への告白をドラゴン先生が漫画で誌面に載せたんですよね。それによってキンテツとキャバ嬢の恋は引き裂かれたと。「せっかくイイ感じになっていたのに……」と怒っていましたよ。ドラゴン先生に対しては「もうしゃべりたくもありません!」とか吐き捨てるように言っていましたし。 小田原 身の程を知らないんですよね(笑)。漫画化の件がなかったら恋人になれていたって本気で信じていましたから。最初から可能性がなかったのは一目瞭然なのに。 クロちゃん ただ、そのときは俺もキンテツの性格を理解していなかったですからね。奴が言うことを鵜呑みにして、小田原ドラゴンというのは相当ヤバい人なんだと思い込んでいました。“人の領域に土足でズケズケ入り込んでくるデリカシーのない漫画家”みたいなイメージを植え付けられましたよ。キンテツに対しても、さすがに可哀想だなって同情していましたし。 ──ただ、2人の話には矛盾点がありますね。ドラゴン先生の話だと「仕事をサボるから絶縁を突きつけた」。一方、クロちゃんがキンテツさんから聞いた話は「自分の恋路を漫画で邪魔されたから絶縁してやった」。主語が入れ替わっていませんか? クロちゃん そうそう、そこもポイントなんですよ! あいつは妙にプライドが高くてなぜか上から目線なので、いつの間にか立場が真逆になっているんです! 小田原 人を見下すようなところがあって、そこがイラっとさせられるんです(笑)。腹立たしかったのは、僕が指名しているキャバ嬢のことをボロカスに言ってきたんですよ。その子は田舎から出てきた素朴な感じの雰囲気だったんですけど、コキ下ろしてきて……。 クロちゃん 身の丈にあっていない発言が目立ちますよね。 小田原 いちいち不用意なことを口走るんです。僕に向かって「漫画を描くのなんて簡単だ」とか……。 クロちゃん うわ~、目に浮かぶようだなぁ。それでいうと、僕の可愛がっていた芸人で、とっくんという後輩がいたんですよ。もう今は引退しちゃったんですけどね。そのとっくんが僕と一緒にジムに行ったり、遊んだりしている様子をキンテツは見ながら、「そんなことしている暇があるのか? あいつはもっともっと頑張らなくちゃいけない時期だろ」とか言ってくるんです。しかも、何度もしつこく! ──キンテツさんなりに檄を飛ばしていたとか? クロちゃん いや、そんな立派なものじゃないと思います。とっくんは池内屋というコンビを組んでいたんだけどピン芸人になって、そんな中でいろいろ必死に模索していたんです。キンテツはそういう部分を何ひとつ知らないで小言を言ってくるものだから、さすがに俺もキレましてね。最初は「キンテツ、そんなこと言わなくていいからね」だったのが、そのうち「そんなこと言わないでくれ」に変わって、最後は「お前、二度とそんなこと言うんじゃねぇ!」と。キンテツって人をカチンとさせる能力が尋常じゃなく高いんですよ(笑)。 小田原 話を聞いているだけでもイライラしてくる(笑)。 クロちゃん あと覚えているのは、キンテツのお気に入り指名嬢に向けて動画を撮らされたこと。「これからもキンテツくんと仲良くしてあげてね~。クロちゃんとの約束だしんよ!」とか。それを雑居ビルの裏みたいなところで撮ったんですけど、何度もリテイクさせられて(笑)。「今のは少し感情が入っていなかったですね。もう1回やってみましょうか」とか、ノーギャラなのに、めちゃくちゃ要求レベルが高いんです! 小田原 僕も結構イラストとか描きましたけど、1回もお金はもらったことないです。 ──いきなりキンテツさんらしいエピソードのオンパレードですが、それぞれ2人ともキンテツさんと濃密な時間を過ごしたことは間違いないはずです。今だから明かされる素敵な思い出はないんですか? クロちゃん 素敵な思い出ねぇ……。ドラゴン先生、何かあります? 小田原 素敵な話は思いつかないけど、信じられないくらいアホだなと呆れたことは何度もあります。キンテツって景気のいいときは年間200万~300万円くらいキャバクラに使うと豪語していたんですよ。それだけ通いまくっていたにもかかわらず、結局、死ぬまでキャバ嬢の“営業”という概念を理解していなかった気がします。 クロちゃん 全部、真に受けちゃいますから。