緊張感高まる競輪トップ戦線 賞金でのグランプリ出場ほぼ当確でも「G1優勝狙う」眞杉匠の闘争本能
眞杉匠はGIを取ってグランプリへ
弥彦競輪場で10月17~20日に大阪・関西万博協賛「第33回寬仁親王牌 世界選手権記念トーナメント(GI)」が開催される。長く暑かった夏もようやく終わり、暮れへと向かっていく。寬仁親王牌から競輪祭へ、この時間は緊張感しかない。 眞杉匠(25歳・栃木=113期)が7月松戸「サマーナイトフェスティバル」、9月宇都宮「共同通信社杯競輪」とGIIを立て続けに制した。グランプリ出場のための賞金ランキングでは6位となり、差額を考えればある程度有利な位置にいる。だが、だが…としか思えない。 この男の闘争本能は、宇都宮餃子の熱さを大幅に上回る。5月いわき平日本選手権(ダービー)を制した平原康多(42歳・埼玉=87期)が決めている静岡グランプリの舞台。「GIを勝って出る」としか考えていないだろう。容易に近づけば、火傷する。
犬伏湧也は昨年の忘れ物を
忘れ物を取りに来た。使い古されたようで、色褪せないフレーズだ。犬伏湧也(29歳・徳島=119期)にとって昨年大会は“取るタイミング”だった。その機を逸してからは信じられない不振に陥った。ようやく、状態面も雰囲気も取り戻してきた。 「しょーもない」 決勝の後、小倉竜二(48歳・徳島=77期)がこう吐き捨ててから1年。取る戦いに、真っすぐ挑む。あの時、「グランプリに犬伏がいてほしい」と誰もが思っていた。ファンにまたその感情を湧き起こさせる。 今年のグランプリは静岡での開催。深谷知広(35歳・静岡=96期)の顔が思い浮かぶ。「深谷がいてほしい」「深谷がいなければ」の声が上がるわけだが、今回は静かに応援したい。南関の意志、を見守りたい。
もう笑顔はいらない
地獄を見た。押しも押されもしないイケメンレーサーとして、また熱い先行で心を打つ新山響平(30歳・青森=107期)のトレードマークは笑顔だ。もちろん、いつでも新山の笑顔を見ていたい。 しかし、地獄を見た。9月地元の青森記念(みちのく記念善知鳥杯争奪戦)決勝は眞杉のヨコ攻撃により、優勝を手にすることはできなかった。S班になって2年、優勝がない身。決勝は北日本結束でチャンスだった。それを、打ち砕かれた。 S班としての戦いぶりは変わらないが、もう一つの波に乗れない。鬼になった新山が、弥彦の森閑とする空気を、目がくらむような灼熱の空気に変えるかもしれない。