「8番出口」「スイカゲーム」人気ゲーム “偽物” 乱立も… 「著作権侵害」を “訴えづらい” 難しさの理由とは
PCゲームやPCソフトなどの販売・配信プラットフォーム「Steam」にて、昨年11月29日から販売されているPC用ホラーゲーム「8番出口」。多くのYouTuber、VTuberらが実況動画の投稿や、実況配信を行うなど話題沸騰となっている。 【X投稿】「8番出口」開発者は “類似作品全然OK”の真意とは そんな中、開発者のコタケノトケケ氏が昨年12月9日、自身のXで、同ゲームの「詐欺アプリ」がApp Storeで公開されていると注意喚起した。
タイトルなど似たアプリ並ぶ、「スイカゲーム」も標的に
「8番出口」は現在、PC(Steam)版のみで販売されており、iOS版は存在しないはずである。しかしながらAppStoreで「8番出口」と検索すると、上位に「8番出口 - 通路からの脱出」というタイトルのアプリが表示されていた。(昨年12月に確認、現在は非表示) SNSなどでは実際にアプリをダウンロードしたと見られるユーザーから本家「8番出口」とはまったく違うゲームであることや、アプリ上で広告が表示されていたとの報告が上がっており、App Storeのレビューでも同様の声が書き込まれていた。 最近では、人気タイトルの「スイカゲーム」でも同様のケースが見られ、そちらも運営が注意喚起している。
著作権で争うには高いハードルが…
「8番出口」「スイカゲーム」の“偽物”に限らず、演出面やルール、設定など、テイストが似ているゲームは多数存在しているが、著作権の観点から問題はないのだろうか。 著作権問題の経験が豊富で、ゲームに関する案件を担当したこともある前原一輝弁護士は、「ゲームを著作権で訴えるときには、基本的には絵を比べることになる」と語る。 「著作権法上、元々のゲームの絵をそのままコピーして貼り付けているような場合はアウトになる可能性が高いですが、絵を書き直すなどして表現を変えると、セーフになることも考えられます」(前原弁護士) ゲームには絵以外の要素もあるが、それらでは著作権を争うのは難しいという。 「作中に流れる音楽も著作物ですが、それをそのままコピーすることはあまりないので、音楽の部分で著作権が侵害されるというケースは少ないと思います。 またシナリオについては、よほど作りこまれたアドベンチャーゲームなどであれば著作権侵害を訴えることは可能かもしれませんが、シナリオが単純であったり、普遍的であれば著作物性が認められないため、ケースバイケースとなります。 本当はプログラムについて争うべきなのですが、訴訟の材料とするには非常に専門的な知識がないといけないですし、相手のプログラムをすべて分析する必要があるので容易ではありません。 さらにゲーム開発では基本的に、一から全てのプログラムを作り上げるのではなく、土台となるソフトがあり、それを利用してプログラムを作成しているケースが多くあります。 よって、著作権侵害を訴えようとする側も、そのプログラムに関する権利を持っていないこともあります。こうした背景から、なかなかプログラムの側面からもゲームの著作権侵害を攻めていくのは難しいです」(同前)