【高校サッカー】正智深谷、伝統の堅守に4通りのシステム駆使した「カメレオンサッカー」
全国高校サッカー選手権が28日に開幕する。8大会ぶり4度目出場の正智深谷(埼玉)は29日の初戦で長崎総合科学大付(長崎)と対戦。伝統の堅守に加え、今年は4通りのシステムを駆使。セットプレーを担うDF鹿倉颯太(3年)の左足の飛び道具を武器に、8年前のベスト8超えの目標を掲げている。 ◇ ◇ ◇ 今年の正智深谷は3-5-2、3-4-3、4-4-2、4-3-3のシステムの引き出しを持つ。相手によって戦い方を変える「カメレオンサッカー」だ。 小島時和監督(60)は新チーム発足から「リーグ戦(U-18埼玉1部)優勝」と「選手権全国切符」の目標を置き、そこから逆算するチーム作りに着手した。選手層を厚くすべく、選手を固定せず多くの部員に出場機会を与えチャレンジしてきた。関東リーグ、夏の高校総体は勝負にこだわるも通過点。各選手の特長を生かすため、多くのシステムも生まれた。 選手権の埼玉県予選でも3バック、4バックと試合ごとに変化させた。DF佐藤飛友(3年)と岸田永遠(3年)のセンターバックコンビは堅守の要。苦しい流れでも鹿倉のキックから繰り出すセットプレーでしたたかに得点を奪った。埼玉県予選では登録メンバー30人のうち20人を起用。決勝まで4試合連続で1点差の試合をものにし勝負強さを発揮した。近年の全国常連の昌平高が直接対決を前に敗れたが、気を緩めることなく「チャレンジャー精神」で埼玉県を制した。 リーグは準優勝に終わったが、1年を通しての小島監督の作戦が奏功した。鹿倉は「準決勝の聖望学園戦では、背番号10の近藤(七音)が出場停止でも違う正智がつくれた」と胸を張り「フォーメーションもどれでも対応できるし、試合中にも変化を付けられる。相手も対策しづらいと思う」と自信をのぞかせる。 選手だけのミーティングを行い、初戦の相手の分析も進める。主将の大和田悠(3年)は「セカンドボールの回収と走り負けないこと、あとは入りが重要になってくる」と見据える。 8大会前は、強豪がひしめくブロックでベスト8に進出した。青森山田に敗れ、4強入りはならなかった。偶然にも、今回も東福岡、尚志と強豪がひしめき、勝ち進めばベスト8で青森山田と対戦する。大和田は「全国を驚かせたいのはある。8年ぶりなんで初出場と同じ。チャレンジャー精神でいくだけ」と力を込めた。【岩田千代巳】