女優ルー・ドゥ・ラージュ、絶望と再生を寄り添わせた名演『夜明けの祈り』
映画から感じる光 「絵のように撮られた」美しい映像とルーの強さと美しさと脆さを抱いた演技
撮影監督のカロリーヌ・シャンプティエは、カメラとマチルダの間にあるクールでありながら人と寄り添おうとする空気を切り取り、素晴らしい物語を醸し出した。 「シャンプティエは、本当に素晴らしい能力を持った熱意のある人だと思います。絵のように撮る人だと聞いていましたし、実際そう思いました。フォンテーヌ監督は、シャンプティエが映画に陰影をつけることによって深みをもたらしてくれた、と言っていました。俳優と撮影監督は、同じくらい重要だと思います」 『夜明けの祈り』という日本語のタイトル通り、映画からある光を感じた。
フォンテーヌ監督はいう。 「(マチルドは)これまで耳にしたこともない残酷な事件の目撃者です。マチルドが穏やかな人物ということはありえません。彼女の職業からしても、強さを感じさせる意志の持ち主である必要がありました」。さらに、 「ルーの力強く際立った美しさ、気品、やや頑固な側面、そして若々しさと、ひと皮むけばそこにある内面の脆さはこの作品にふさわしい資質だった」と。「限界を知らず、果敢なところは少しマチルドと似ているのではないか」 その通りだと納得できた。私たちには、映画とともに、この果敢な女優をつぶさに見るという楽しみも付加された。 (取材・文:関口裕子) 『夜明けの祈り』配給:ロングライド、8月5日(土)公開、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開、(C)2015 MANDARIN CINEMA AEROPLAN FILM MARS FILMS FRANCE 2 CINEMA SCOPE PICTURES