天皇皇后両陛下の能登お見舞いに見える“災害との向き合い方”
――続く能登町でも、大勢の町民が迎えると、両陛下は手を振って応えられていました。
――28世帯43人が避難生活を送る中学校で、被災者を見舞ったあと、両陛下は、4.7メートルの津波が襲い建物被害の大きかった白丸地区を訪問されています。1人が亡くなったこの場所でも黙とうされました。
――奥能登へは続けての2度の訪問となりました。 災害発生後に「お見舞い」があって、数年後に「復興状況の視察」というのはよくありますが、今回のように、一つの県のお見舞いが1か月のうちに2度、というのは例がないと思います。半島の災害という事情があり、石川県との調整で決まったようですが、両陛下がそれだけ深く案じ、心を寄せられている表れと言っていいと思います。 2度のお見舞いで訪ねた4つの市や町とも、視察・黙とうと避難所のお見舞いにかけられた時間はほぼ同じでした。そこにあるのは“等しく”というココロだと思います。ニュースはどうしても被害の大きさに左右されますが、両陛下は被害の大小でなく、等しく、広く、被災者を励まそうとされていると感じました。2度のお見舞いで被災地に“元気”が広がりましたが、令和の両陛下の災害との“向き合い方”も見えてきたように思います。 ――お見舞いの日程の一秒一秒に両陛下の思いが込められていることがよくわかりました。被災した皆さんの心に寄り添うという優しさが垣間見えた訪問でしたね。 そうですね。 【井上茂男(いのうえ・しげお)】 日本テレビ客員解説員。皇室ジャーナリスト。元読売新聞編集委員。1957年生まれ。読売新聞社で宮内庁担当として天皇皇后両陛下のご結婚を取材。警視庁キャップ、社会部デスクなどを経て、編集委員として雅子さまの病気や愛子さまの成長を取材した。著書に『皇室ダイアリー』(中央公論新社)、『番記者が見た新天皇の素顔』(中公新書ラクレ)