天皇皇后両陛下の能登お見舞いに見える“災害との向き合い方”
この輪島塗の飾盆の作者で、重要無形文化財保持者、いわゆる“人間国宝”の前史雄(まえ・ふみお)さんに、避難先の金沢市でお会いしました。工房のある「輪島朝市」の自宅は地震で半壊、その後火事で焼け、作品から、道具から、書きためた図案帳から、全てが焼けてしまったそうです。 前さんの作品は平成30年に陛下が石川県を訪問した時に当時の知事から献上されました。前さんご自身は自分の作品が皇室に贈られていたことを全く知らず、新聞の写真を見て自分の作品が置かれていることに驚き、“励ましのメッセージ”を感じたそうです。 漆芸家 前史雄さん:「珠洲焼と輪島塗を選んだということは、励ましのお言葉、お気持ちだったろうと思います。それはよくわかります」「天皇陛下においでいただいてよかったなと思う。みな勇気も出ますし、慰められるし」 ――両陛下は被災地と離れていたとしても、能登に思いを寄せていらっしゃるということがよくわかりますね。 両陛下の励ましの思い・気持ちは、しっかり届いていること、そして、その発信の“力”というものを改めて感じました。
◾️等しく――同じ県への1か月に2度のお見舞い
――そして、両陛下は4月12日、2度目のお見舞いをされました。この日、機材トラブルのため1時間遅れて能登空港に到着したあと両陛下は、最初にヘリコプターで穴水町に入られました。
――半数近い店舗が全・半壊した商店街では、営業している美容院に近づかれ、「大変でしたね。大丈夫でしたか」と予定外の声かけもあったということです。
――続いて大勢の町民らが出迎えるなか避難所を訪問されました。腰を落として被災者一人ひとりと目を合わせ「大変でいらっしゃいましたね。おけがはないですか」などと声をかけられました。 被災した男性:「泣けてきたというか。本当に心から心配していただきました」
――穴水町を出発する前には、土砂崩れで16人の命が奪われた地区に向かって両陛下は深く頭を下げられました。