【高給の裏側】勝ち組の職業とされる「医者」。病院勤務と個人経営で医者の年収はどれだけ変わるの?
高年収の代表格というイメージがある医者。勤務医と開業医では求められる能力やキャリアパスなどが異なりますが、平均年収も大きく変わることをご存じでしょうか。 場合によっては2倍近く年収に差が出ることもあり、どちらを選ぶかは重要なポイントになります。 今回は、気になる病院勤務医と開業医の年収の違いについて見ていきましょう。
勤務医と開業医の違い
勤務医とは、病院やクリニックなどの医療機関に雇用されて働く医師のことです。医療機関が定めた業務内容や労働時間に従い、ある程度決まったルーティンで働きます。 一般的なサラリーマンと同じように雇用や給与が安定しており、勤務先によっては傷病手当や雇用保険など福利厚生が充実していることも珍しくありません。 万が一業務でトラブルを起こした場合も勤務先である医療機関が窓口となって対応することが多いため、大きな責任を負ったり自分で直接トラブル対応したりするリスクが低い点もメリットです。 その一方で、どれだけ実績を上げても給与はあまり変わらない点や、当直や論文執筆を担当する場合は心身の負担が大きくなる点などデメリットもあります。組織に属している以上、転勤や配置換えなどの人事異動にも従わざるを得ないでしょう。 開業医は、自分で医療機関を新たに開設したり、誰かから引き継いだりして経営する医師のことです。診療日や治療方針、医療機器やスタッフの選定まですべて自分の裁量で決められるため、自由度が高く理想に近い働き方ができます。 患者が増えるほど収入もアップするため、成果を実感しやすいでしょう。その反面、経営者であるため資金繰りや苦情対応など診療業務以外のさまざまな問題にも対応しなければならず、1人で患者を診ている場合は休みを取りにくいといった悩みもあります。
勤務医と開業医の平均年収
厚生労働省が令和元年に公表した「第22回医療経済実態調査」によると、勤務医の平均年収は約1491万円、開業医の平均年収は約2807万円でした。令和3年に公表した「第23回医療経済実態調査」では、勤務医の平均年収は約1467万円、開業医の平均年収は約2729万円です。 いずれも開業医のほうが勤務医より約1.9倍収入が高いという結果でした。ただし、開業医は勤務医と比べて所得税や住民税などが高くなり、医療機器など設備投資にも費用がかかるため、手取り額で見れば差はもう少し縮まると考えられます。 ちなみに、開業医や勤務医の年収は診療科目によっても大きく変わるため、平均年収はあくまでも参考としてとらえておきましょう。
開業医は年収も高いが責任も重い!
単純な年収だけ見れば、病院勤務の医師よりも開業医のほうが2倍近い収入を得られます。ただし、個人経営だと診療業務以外にもさまざまな業務が必要となり、責任は重くなるでしょう。 患者の数や診療科目によっても年収は変わるため、一概に開業医のほうが稼げるとは限りません。病院勤務と個人経営、それぞれに収入だけでは計れないメリット・デメリットがあることを念頭に置いておきましょう。 出典 厚生労働省 第23回医療経済実態調査の報告(令和3年実施) 厚生労働省 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告 ―令和元年 実施― 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部