家族死亡時のスマホ解約方法 各キャリアの手続きまとめ【2024年版】
子どもからお年寄りまで1人1台が当たり前となったスマートフォン。この記事では契約者が亡くなった際に必要な手続きについて、国内の主要キャリアを中心にご紹介する。 【もっと写真を見る】
子どもからお年寄りまで1人1台が当たり前となったスマートフォンや携帯電話だが、契約者が亡くなった場合、解約するには通常とは異なる手続きが必要だ。 この記事では国内の主要キャリアを中心に、契約者の死亡に伴う解約手続きの概要をご紹介する。終活の準備をしている方や、家族を見送る立場にある方の参考となれば幸いだ。 ※ この記事は2024年5月現在の情報を基に執筆しています。最新の手続き方法については各キャリアのウェブサイトや問い合わせ窓口へご確認ください。 基本は「解約」か「承継」を選択する キャリアによって扱いは異なるが、一般に契約者が亡くなった際は、その回線を「解約」または「承継」することになる。解約は文字通り回線自体を解約して使えなくすること。対して承継は、回線の名義を家族に変更して維持するものだ。 どちらを選ぶかは状況次第だが、この記事では見送る側がすでに自分のスマホを持っていることが多い現状を踏まえ、解約の手続きに焦点を当てて説明していく。 大手4キャリアの場合 ●NTTドコモ 手続きをする人:指定なし 手続方法:ドコモショップ/d garden店頭 用意するもの ・死亡の事実が確認できるもの(葬儀の案内状、香典返しのお礼状、住民票除票、除籍がわかる戸籍謄本全部事項証明書、除籍がわかる戸籍抄本個人事項証明書など) ・ドコモUIMカード/eSIMカード(盗難や紛失時を除く) ・来店者の本人確認書類 NTTドコモでは、ドコモショップまたは「d garden」の店頭で手続きをする仕組みだ。用意する書類も公的な書類にくわえ、葬儀の案内状や香典返しなど民間の書面にも対応している。とはいえ、家族が手続きをするなら、戸籍謄本など故人との関係性を証明できる公的書類を用意した方がスムーズだろう。 ドコモUIMカード(いわゆる物理SIMカード)/eSIMカードが盗難、紛失により見つからないときは、その旨を申し出ればSIMカードなしでも手続きを進められる。 しいて難点を挙げるなら、ドコモショップかd garden店頭での手続きが原則となることだ。近所にドコモショップやd gardenがないユーザーは、葬儀後の忙しい状況下で、遠くのショップへ足を運ばなければならない(離島なども同条件)。 ●au(KDDI/沖縄セルラー) 手続きをする人:亡くなった契約者の家族 手続方法:解約手続き:auショップ/au Styleまたはトヨタ au取扱店の店頭 用意するもの ・死亡が確認できる書類の原本またはコピー戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)、除籍謄本(除籍全部事項証明書)、住民票(除票)、会葬礼状、香典返しなど ・現在ご利用中の携帯電話端末(ICカード含む) ・代理人(手続きする家族)の本人確認書類 ・亡くなった契約者との関係性を証明できる書類 auの死亡解約手続きは、故人の家族が対応する仕組みとなっている。そのため、契約者の死亡を確認できる書類にくわえ、手続きをする人と故人の関係性を示す書類も必要だ。戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)など、契約者が故人であることと、故人と手続き者が家族であることを同時に証明できる公的な書類を用意しておくとよいだろう。 店頭での対応が基本となる点はドコモと変わらない。 余談になるが、この記事の執筆にあたり、もっとも情報収集に苦労したのがauだ。ほかのキャリアのサイトではほぼ1ヵ所に情報が集約されている一方、筆者が見た限り、auにはそういったページは存在せず、「よくある質問」の回答をいくつか組み合わせて、やっと手続きの全容が掴めるような状況だった。今後の改善に期待したい。 ●ソフトバンク 手続きをする人:亡くなった契約者の法定相続人 手続方法:解約手続き:ソフトバンクショップ店頭 用意するもの ・死亡が確認できる書類会葬案内状、除籍が分かる戸籍謄本、住民票(除票)、医師の死亡診断書、埋葬許可証など ・契約中のUSIMカード(紛失時は要申告) ・手続をする人(法定相続人)の本人確認書類 ソフトバンクもキャリアショップ店頭での手続きとなる点は、ドコモやauと共通だ。 手続きできるのは法定相続人とされているが、これは故人の配偶者や親、兄弟、子どもなどが該当するため、基本的には家族が手続きをするものと考えて差し支えない。 故人と法定相続人の関係性を示す書類は不要だが、結婚などで両者の名字が異なる場合、関係性を示す書類(両者が記載された戸籍謄本など)が必要となることもある。 ●楽天モバイル(MNO) 手続きをする人:故人の2親等以内の代理人 手続方法:郵送 用意するもの ・楽天モバイル通信サービス ご契約者様逝去時 代理人提出用 解約申込書 ・契約者が逝去したことを確認できる書類のコピー戸籍全部事項証明書、除籍謄本、住民票(除票)など ・代理人と故人の関係がわかる書類戸籍全部事項証明書または除籍謄本 ・代理人の本人確認書類のコピー 楽天モバイル(MNO)の場合、すべて郵送での手続きとなる。手順もシンプルで、ウェブサイトから「楽天モバイル通信サービス ご契約者様逝去時 代理人提出用 解約申込書」をダウンロードして印刷、記入したら、ほかの必要書類と一緒に同社へ郵送するだけだ。 手続き可能な代理人は故人の2親等以内の人物で、故人の親、兄弟、配偶者、子ども、孫などが該当する。2親等以内の条件を満たせない場合は、弁護士を代理人として立てれば手続きが可能だ。 解約までの所要時間は最大2週間程度。手続きが完了すると、代理人にSMS等で通知される。 サブブランド(UQ mobile/ワイモバイル)の場合 ●UQ mobile 手続きをする人:指定なし 手続方法:郵送(UQ mobileお客さまセンターにTEL後、書面で手続き) 用意するもの ・UQ mobileから送られてくる書類に必要事項を記入した物 ・契約者の逝去が確認できる書類(コピー可)戸籍謄本、戸籍抄本、除籍謄本、除籍抄本、住民票(除票)、会葬礼状など ・手続きをする人の本人確認書類のコピー auのサブブランド「UQ mobile」では、電話と郵送の組み合わせで解約できる。UQ mobileお客さまセンターに電話で解約したい旨を伝え、その後同社から送付される書類に必要事項を記入し、契約者の逝去を確認できる書類と解約手続きをする人の本人確認書類のコピーを添えて送り返せばよい。 UQ mobileは実店舗もあるが、auと違い、店頭での手続きはできないので気を付けたい。 ●ワイモバイル 手続きをする人:契約者(故人)の法定相続人 手続方法:オンラインまたはワイモバイルショップ店頭 用意するもの ・契約者の死亡が確認できる書類(コピー可)除籍が分かる戸籍謄本、住民票(除票)、医師の死亡診断書、埋葬許可証、会葬案内状など ・手続きをする法定相続人の本人確認書類 ・契約中の端末とUSIMカード(店頭手続き時のみ/紛失の場合は要申告) ソフトバンクのサブブランド「ワイモバイル」では、ワイモバイルショップの店頭だけでなく、オンラインで解約手続きをすることもできる。 オンライン手続きの場合、専用サイトで必要事項を入力後、契約者の死亡が確認できる書類や手続きする法定相続人の本人確認書類の写真をアップロードするだけでよい。ネット環境と書類さえあれば、24時間どこでも手続きできるのは、葬儀後も何かと忙しい遺族にとって、とても助かる仕組みだ。 オンライン専用プラン(ahamo/povo2.0/LINEMO)の場合 ●ahamo 手続きをする人:指定なし 手続方法:郵送 用意するもの ・郵送申込書(ahamoウェブサイトからダウンロード) ・死亡の事実が確認できる物除籍がわかる戸籍謄本(全部事項証明書)、除籍がわかる戸籍抄本(個人事項証明書)、葬儀の案内状など ・手続きをする人の本人確認書類 ドコモのオンライン専用プラン「ahamo」の解約手続きは、ウェブサイトからダウンロードした申込書に記入した上で、上記の書類を添付して郵送する形となる。 通常の解約と異なりオンライン手続きには非対応だが、電話等でサポートに連絡することなく、必要な書類の郵送だけで手続きが可能だ。 ●povo2.0 手続きをする人:指定なし 手続方法:サポートに連絡後、書類を郵送 用意するもの ・サポートから送付されてきた書面 ・契約名義人の死亡記載がある書類のコピー戸籍謄本(全部事項証明書)、除籍謄本(抄本)、住民票など au系のオンライン専用プラン「povo2.0」も、郵送での手続きとなる。同社のウェブサイトからサポートへ連絡すると書面が送られてくるので、必要事項を記入し、契約名義人の死亡記載がある書類のコピーを添えて送り返す仕組みだ。 もっとも、povo2.0は一定期間有料トッピングの購入がないと強制解約となるため、故人が自動更新型のトッピングを購入していなければ、そのまま放置して強制解約を待つのも1つの方法だろう。 ●LINEMO 手続きをする人:指定なし 手続方法:オンライン 用意するもの ・契約者の死亡が確認できる書類除籍がわかる戸籍謄(抄)本、住民票(除籍)、医師の死亡診断書、火葬/埋葬許可証など ・手続きをする人の本人確認書類運転免許証、保険証、マイナンバーカード、在留カードのいずれか ソフトバンクのオンライン専用プラン「LINEMO」は、死亡解約についても完全オンラインで手続きが可能。専用サイトにスマホでアクセスし、必要事項を入力したら、書類の写真を撮ってアップロードするだけでよい。 ahamoやpovo2.0と違い、紙の書類の郵送は不要。正真正銘のオンライン専用プランだ。 家族が解約しやすいキャリアへの乗り換えも1つの方法 家族が亡くなった後、残された家族は仕事や家事とは別に、葬儀の準備や事後処理だけでなく、突然やってくる弔問客への対応から、戸籍や税金、相続に関する手続き(期限付き)まで、非常に多くの作業に追われることとなる。悲しみに暮れつつ、すべてを滞りなく済ませるのは、経験者であっても辛く苦しいものだ。 先立つ側も残される側も、元気なうちに死後の話をするのは、なかなか気が進まないかもしれない。それでも自分が亡くなったときのことを考えると、生前に家族でしっかりと話し合い、必要に応じて解約しやすいキャリアに乗り換えておくことは大切ではないか。少なくとも、喪主に近い立場で家族を3人見送ってきた筆者はそう考える。 文● @sumire_kon