高校生の娘が、「卒業後は大学に行かず公務員になりたい」と言っています。進学したほうが“収入が高い”と思うのですが、年収はどれだけの差になりますか?
景気に左右されにくく、安定した給与をもらえることで人気の公務員。しかし、高校生の娘から「卒業したら進学せず、すぐに公務員として働きたい」と言われたら、「大学を卒業してからのほうが高年収を期待できるのでは?」と気になる人もいるかもしれません。 本記事では、高校卒と大学卒の公務員の年収の差について解説します。 ▼「公務員は安定している」って本当? 定年退職の割合や退職金の平均額を教えて!
高校卒と大学卒の年収の差とは?
高校卒業後と大学卒業後各1年目から公務員になった場合、初任給やその後の年収がいくらくらいになるのかを確認していきましょう。総務省が公表している「令和5年 地方公務員給与の実態」を基に、都道府県の一般行政職として就職したと仮定して比較します。 図表1
総務省 令和5年 地方公務員給与の実態を基に筆者作成 図表1の通り、どの勤続年数の区分でも大学卒のほうが年収は高くなっており、最も年収差がある「15年以上20年未満」の時期だと「約130万円」も差が出ることが分かります。 年収が高いのは大学卒ですが、生涯年収総額はどのくらい違うのでしょうか。60歳まで働くと仮定すると、高校卒の場合は41年、大学卒の場合は37年働くことになります。図表1を基に、生涯年収を計算してみると以下の通りとなります。 ■高校卒の場合 (322万円×5年)+(387万円×5年)+(463万円×5年)+(548万円×5年)+(638万円×5年)+(714万円×5年)+(749万円×5年)+(770万円×6年)=2億3725万円 ■大学卒の場合 (408万円×5年)+(484万円×5年)+(574万円×5年)+(678万円×5年)+(746万円×5年)+(790万円×5年)+(809万円×5年)+(838万円×2年)=2億4121万円 高校卒のほうが働いている期間は4年間多いですが、生涯年収は大学卒よりも396万円低いことが分かります。この差をどう見るかは人によって異なるかもしれませんが、高校卒のほうが大学卒よりも、初任給やその後の年収、生涯年収もやや下回っているといえます。