勝利しか許されない90分間を支えたのは3年生の意地と執念。太陽王子が背水の陣で掴んだ勝点3の価値 高円宮杯プレミアリーグEAST 柏レイソルU-18×横浜FCユースマッチレビュー
1点をリードした最終盤というシビアな時間帯での投入だったが、石津は日常から積み上げてきたものに確かな自信を持っていた。「プレミアの出場機会があまりない中で、結構もがいていた苦しい時期もあったんですけど、いつでも出られるように、日ごろから自主練もコツコツやってきて、今週コンディションが上がってきて出られたという感じです」
「自分は結構メンタルが弱い方なので、環境に左右されたりしてしまうんですけど、そこを変えていかないと上のレベルではやっていけないので、まず日ごろのトレーニングから自分のプレーに責任を持てるように意識して、自信を付けられるように、メンタルの部分を磨いてきました」。最初は3バックの右センターバックに入り、システム変更を受けて4バックの左サイドバックに回りながら、相手の攻撃を丁寧に潰していく。
85分。柏U-18に決定的なピンチがやってくる。右サイドを崩され、中央の細かいコンビネーションから相手のエースがフィニッシュ。DFに当たって少しコースが変わった軌道はゴール右スミを襲ったものの、栗栖は鮮やかな横っ飛びでボールを枠外へ弾き出す。
「あそこで失点してしまったら結果は変わっていたと思いますし、今シーズンはああいう大事な場面を止められるキーパーになろうと思ってきたので、結果として現れて良かったなと思います」。重ねてきた努力を1本のセーブに滲ませたビッグプレー。頼れる守護神がゴールに鍵を掛け続ける。
「もういろいろなことを考えずに、勝つことだけを見ていたので、本当にホッとしたという気持ちしかなかったですね。『良かった……』という気持ちでした」(石津)「今日はたくさんメッセージが来ると思います。『やっと決めたか』って。みんなが『まだか、まだか』と思っていたはずなので(笑)」(戸田)「本当に今シーズンで一番試合が終わった後にやり切ったなという感じでしたね。最高でした」(栗栖)
三者三様の感想も面白い。1-0でシビアなゲームを勝ち切った柏U-18にとって、さまざまな想いを抱えながら、それぞれの役割を100パーセントでまっとうした3年生の奮闘は、残されたリーグ戦に向けてもきっとポジティブに作用していくはずだ。
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