勝利しか許されない90分間を支えたのは3年生の意地と執念。太陽王子が背水の陣で掴んだ勝点3の価値 高円宮杯プレミアリーグEAST 柏レイソルU-18×横浜FCユースマッチレビュー
「最初の方は結構気にしていたんですけど、途中からは『ブレずにやっていればいつかは必ず結果が付いてくる』と信じていたので、しっかり当たり前のことをやっていこうと思っていました」
柏U-18の10番を背負っている3年生の戸田晶斗は、明確な自分の結果に飢えていた。指揮官から攻撃の全権を託され、リーグ戦全試合に出場してきた中で、自身のゴールは第3節で記録した1点のみ。高い技術で次々とチャンスを生み出していく一方で、なかなかゴールが付いてこない現状を打開すべく、大事な今節のピッチに並々ならぬ決意を携えて足を踏み入れる。
前半のシュート数はホームチームの2本に対し、アウェイチームは8本。押し込まれる時間の長い展開を強いられるも、「自分たちの中では想定内の中でしっかり守れるところは守れていたので、嫌なイメージはなかったですね」と話した栗栖の2度のファインセーブもあって、スコアレスでハーフタイムへと折り返す。
58分。眠れる10番が目を覚ます。猪狩鉄太のフィードを受け、左サイドで粘り強く時間を作った吉原楓人が中央へ折り返すと、走り込んできた戸田は一瞬で思考を巡らせる。「最初は『トラップして打とう』と思ったんですけど、ボールが来た時にトラップしたら相手に寄せられると思ったので、瞬時に『ダイレクトで打った方が入るかな』と思って、ダイレクトで打ちました」
左足で叩いたボールは、右スミのゴールネットへゆっくりと吸い込まれる。「『やっと来た!やっと入った!』という感じでした。今日は『絶対にゴールを決めてやる』と思っていたので、それが気持ちとして乗ったかなと思います」。実にリーグ戦15試合ぶりの得点を挙げたスコアラーは、チームメイトの歓喜の輪へあっという間に飲み込まれた。
81分。アップエリアにいた石津にベンチから声が掛かる。「緊張はそんなにしなかったですね。『来た!やってやるぞ!』という感じで、自分が出たら結果を残せると思っていましたし、藤田さんからは『いろいろな気持ちがあると思うけど、ミスしてもいいからどんどんチャレンジして、自分の良さを出してこい』と言われました」。実にリーグ戦15試合ぶりの出場となるピッチへ、12番が力強く駆け出していく。
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