ヤフオク7万円のシトロエン・オーナー、エンジン編集部ウエダの選んだカー・オーディオは今どきカセット?【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#49】
ステアリングのスイッチ復活大作戦の始まり(笑)
連載がはじまってまだ間もない第6回のリポートで、エグザンティアのオーディオ・ユニットについてご紹介した。毎度毎度修理ばかりでは気が滅入るので、今回はその続編として、たまたま入手できた今どき珍しいオーディオ・ユニット装着のお話を。 【写真7枚】これがシトロエン・エグザンティア用?のカセットデッキか? はたしてこれは使えるのか? ◆長距離行とラジオとステアリングのスイッチ クルマの中の、ラジオが好きだ。お気に入りのパーソナリティや番組があるというわけじゃないし、運転中、意識の多くはクルマを操ることに持って行かれている。そんなとき、流れる曲やひとの声が、なんとなしに耳から入ってきて、頭の中を通り抜けていくのが、いい。仕事でひたすらクルマと真摯に向き合うだけのときもあるけれど、たいていクルマの中にいると、指先でラジオのチューニングを無作為に合わせ続けている。声も、音楽も、ほとんどは、まず記憶には残らない。一期一会の、その場限りの出会いだ。でも、それがまた、いい。 東名高速、名神高速、中央道。人生の半分弱を過ごした故郷と、残りの半分を過ごした東京を、年に何度か往復する。箱根や伊豆、長野、千葉と、日帰りで数百kmを移動するのもしょっちゅうだ。そしていつも僕は、ときにひとの声を欲し、ときに音楽を望みながら、ものすごい勢いで動き続けるクルマという物体の中で、周波数を変え、好みのサウンドを探し続けている。 だから運転への集中を切らさず、かつ好きな音を追求し続けられるステアリング・ホイールのリモート・コントロール・スイッチは、クルマに欠かせない装備だと思っている。いまではすっかり当たり前の装備だし、やや最近は音声認識技術や液晶へのタッチ・スイッチの進化で陰りもあるのだけれど……。 このリムに手を添えたまま、指先の動きだけで自在にチューニングを変え、音量を操る感覚を知ったのは、いつのことだっただろうか。思い返してみれば、たぶん僕は、はじめて買ったワイン・メタリックのエグザンティアで、ロング・ドライブと、ステアリングのスイッチと、ラジオのマッチングの良さを知ったのだった。1990年代までのフランス車は、優れたシートばかりに話がいきがちだけど、総じて長時間、運転への集中を途切れさせないようにすべく、人の生理と真摯に向き合っていた、造り手の思いがこもっていたように思う。
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