Creepy Nutsの紅白までの軌跡を“Bling-Bang-Bang-Born”から辿る。彼らの偉業とは
2人にとっても「紅白」は夢物語のひとつ。掲げた未来像の実現
Creepy Nutsにとっても「紅白」の舞台は待ち望んでいたものだったはずだ。“土産話”にはこんなリリックがある。 <なぁ、相方 じゃこの先は? ホールにアリーナ またデカい山 ガキ使にピザ? カウントダウンに紅白 まぁ今年も年末空けとくわ…> 2021年9月リリースのアルバム『case』のラストに収録されたこの曲は、「音楽で食えるようになるとは夢にも思っていなかった」という結成当初から時を経て、武道館やフェスの大舞台に立ち、憧れの人との共演も果たすなど数々の成功を手にした当時までの彼らの足跡を綴ったナンバーだ。ただ、その時点でも、「紅白」は夢物語のひとつだった。けれど、そこで歌われていた予言は、いま、それを上回るスケールで形になりつつある。すでに彼らはアリーナでのワンマンライブも成功させ、2025年2月には初の東京ドーム公演も開催予定だ。 こうして彼らが手にした成果に感慨深いものを感じている人も多いのではないだろうか。 考えてみれば、Creepy Nutsは最初からヒットチャートを駆け上がること、J-POPのメインストリームのど真ん中でスターとなることを未来像に持ったユニットだった。 インディーズ時代の2017年にリリースした“助演男優賞”のミュージックビデオには、「売れる」ことを目指したレコード会社のマーケティング戦略に翻弄される彼らの姿がコミカルに描かれる。そのMVの時点で「踊ってみた」動画が現象を巻き起こすという、いまの「#BBBBダンス」につながる描写があるのも示唆的だ。 R-指定は自らのルーツとして、11歳の時に SOUL'd OUTに出会ったことがヒップホップに傾倒するきっかけになったと語っている。“土産話”のリリックにもある通り、二人を結びつけた憧れの対象はRHYMESTERだ。アンダーグラウンドなラッパーたちが頭角を現していた00年代のヒップホップシーンの潮流の中で、J-POPのオーバーグラウンドなフィールドで活躍したり、ロックフェスに出演したり、ラジオで番組を持ったりと多方面な活動を見せていたグループに憧れを抱いたことが彼らの根っこにある。